劇場公開日 2011年10月1日

「ありがとう、ニイニイ」天国からのエール 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ありがとう、ニイニイ

2013年6月15日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

幸せ

弁当屋を営む傍ら、高校生バンドの為に音楽スタジオを創設した故・仲宗根陽氏の実話を元にした、沖縄を舞台にした感動作。

何と言っても、仲宗根陽氏(映画では大坂陽という名だが)の姿に胸打たれる。
夢見る若者たちの為に手作りで借金してまでスタジオを建設。しかも、使用料無料。ご飯食べ放題。
だからと言って何でもかんでも自由ではなく、挨拶をする、ルールを守る、礼儀を重んじる、勉強を優先する、人の心の痛みが分かる人間になれ…などなど、人としての基本も教えていく。
その教えを受け、若者たちも成長していく。
無料なので儲かる訳ではない。かと言って、見返りを求めている訳でもない。
自ら頭を下げて地元のラジオ局に売り込むなど、何故そこまでして若者たちを応援するのか。
陽にはプロミュージシャンを目指しながらも事故死した友人が居た。だからこそ、プロになる夢を追いかける若者たちを放っておけない。
友の夢、若者たちの夢が、自分の夢。
面倒見が良く、熱く、厳しく、優しく、真っ直ぐ。若者たちの基盤を作り、自ら率先してお手本になる。
俗な言い方だが、これが大人として人としての在るべき姿であると教えられる。

バンドが軌道に乗り、陽と若者たちの絆はかけがえのないものになっていく。
その矢先、陽の癌が再発し…。

癌に蝕まれていく役を演じる為減量するなど、阿部寛が熱演。仲宗根氏の思いを体現している。
陽を“ニイニイ”と呼び慕う女子高生アヤを演じた桜庭ななみは生歌も披露。涙ながらに熱唱するライブシーンはグッとくる。(そして、自然体な演技がキュート)

仲宗根氏が遺した“あじさい音楽村”。
多くのスターを輩出し、主題歌を担当したステレオポニーも“あじさい音楽村”出身。仲宗根氏への感謝と想いを込めた主題歌には目頭が熱くなる。

近大