英国王のスピーチ

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劇場公開日:2011年2月26日

英国王のスピーチ

解説・あらすじ

現イギリス女王エリザベス2世の父ジョージ6世の伝記をコリン・ファース主演で映画化した歴史ドラマ。きつ音障害を抱えた内気なジョージ6世(ファース)が、言語療法士の助けを借りて障害を克服し、第2次世界大戦開戦にあたって国民を勇気づける見事なスピーチを披露して人心を得るまでを描く。共演にジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター。監督は「くたばれ!ユナイテッド」のトム・フーパー。第83回米アカデミー賞で作品、監督、主演男優、脚本賞を受賞した。

2010年製作/118分/G/イギリス・オーストラリア合作
原題または英題:The King's Speech
配給:ギャガ
劇場公開日:2011年2月26日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第83回 アカデミー賞(2011年)

受賞

作品賞  
監督賞 トム・フーパー
主演男優賞 コリン・ファース
脚本賞 デビッド・サイドラー

ノミネート

助演男優賞 ジェフリー・ラッシュ
助演女優賞 ヘレナ・ボナム・カーター
撮影賞 ダニー・コーエン
編集賞 タリク・アンウォー
作曲賞 アレクサンドル・デプラ
衣装デザイン賞 ジェニー・ビーバン
美術賞  
音響録音賞  

第68回 ゴールデングローブ賞(2011年)

受賞

最優秀主演男優賞(ドラマ) コリン・ファース

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀助演男優賞 ジェフリー・ラッシュ
最優秀助演女優賞 ヘレナ・ボナム・カーター
最優秀監督賞 トム・フーパー
最優秀脚本賞 デビッド・サイドラー
最優秀作曲賞 アレクサンドル・デプラ
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映画レビュー

4.0 言葉の重み

2018年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

知的

日本の政治家などを見ていると、政治とは言葉で煙に巻くものかと思ってしまうことがある。いい加減な答弁で時間を浪費し、屁理屈じみた言葉の定義で本来の言葉の意味をも歪ませてしまったり、総じて言葉の軽さがめにつく。しかし、本作や『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』などを観ると、政治において言葉とはなにより大事なものだと実感させられる。言葉によって社会を動かすのが政治であり、それをするには修練と試行錯誤が欠かせない。

本作は英国王ジョージ6世の歴史的スピーチの裏側に焦点を当てる。ジョー・ライト監督の『ウィンストン・チャーチル』にも登場する人物だ。チャーチルも見事な演説で英国民を戦争の危機に向き合わせたが、このジョージ6世のスピーチもまた多くの英国民を鼓舞した。

史実とは異なる点ももちろん散見されるが、言葉の重みを描いた秀作だ。

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共感した! 9件)
杉本穂高

4.0 【81.2】英国王のスピーチ 映画レビュー

2025年10月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

作品の完成度
歴史的な事実に基づいた、吃音に悩む英国王ジョージ6世(バーティ)と、異色の言語聴覚士ライオネル・ローグとの友情と成長を描いたヒューマンドラマの傑作 脚本、演出、演技、美術、音楽の全てが高いレベルで調和し、一つの作品として隙のない完成度を誇る 吃音というデリケートな主題を扱いながらも、センセーショナルにせず、ユーモアと温かさを交え、人間ドラマとして深く掘り下げた点に成功 抑圧された王室の空間と、庶民的なライオネルの診療所との対比的な描写は、二人の関係性の変化を象徴的に示す 歴史的背景を超えて普遍的な共感を呼ぶテーマと、緻密な構成、そして役者陣の圧倒的な演技力が結実した、映画史に残る名作の一つ 第83回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞の主要4部門を受賞
監督・演出・編集
監督:トム・フーパー
抑制的でありながら、感情の機微を的確に捉える演出 吃音による内面の葛藤を、クローズアップや広角レンズを効果的に用いて表現し、バーティの孤独と不安を体感させる 王室の閉鎖性と、ライオネルの診療室の解放性の対比を明確にし、物語の進行とともに二人の世界の融合を描き出す カメラワークや構図は、時として緊張感のあるフレーミングを用い、王室の格式とバーティの心理的な圧迫感を視覚化 ユーモアとシリアスのバランス感覚が絶妙
編集:タリク・アンウォー
二人の会話劇をテンポ良く、かつ緊張感を保ちながら繋ぐ 感情の爆発や、吃音による言葉の詰まりといった重要な瞬間に、間やカットのタイミングを巧みに操作し、ドラマティックな効果を生み出す 終盤の、戦争勃発を告げるスピーチのシーンでは、緊迫感と感動を最大化する編集技術
キャスティング・役者の演技
主演:コリン・ファース (ヨーク公アルバート王子/ジョージ6世)
吃音という障害を持つ王子の内面の苦悩、弱さ、そして王としての責任感との間で揺れ動く複雑な心情を、緻密な身体表現と表情で見事に体現 どもりの演技は単なる模倣に留まらず、その背後にある深い劣等感、怒り、不安といった感情の機微を繊細に演じきった ライオネルとのセッションを通じた精神的な解放と成長の過程は、観客に強い共感を呼び起こす この演技で第83回アカデミー賞主演男優賞など、数々の賞を獲得
助演:ジェフリー・ラッシュ (ライオネル・ローグ)
バーティの吃音治療に当たる、型破りな言語聴覚士の役を、ユーモラスかつ深みのある演技で体現 王族に対しても物怖じしない大胆さと、セラピストとしての深い洞察力と温かさを併せ持つキャラクター像を確立 バーティとの対立と和解、そして真の友情を築く過程において、時に厳しく、時に優しく接するライオネルの人間性が物語の核となる 第83回アカデミー賞助演男優賞にノミネート
助演:ヘレナ・ボナム=カーター (エリザベス妃/クイーン・エリザベス)
吃音に苦しむ夫バーティを献身的に支える妻の役を、内なる強さと優しさを秘めた演技で表現 夫の苦悩を理解し、彼のために最高のセラピストを探し出す行動力と、王族としての品格を持つ女性像を見事に描き出した 夫を思う一途な愛情と、王室を守ろうとする強い意志がバーティの精神的な支えとなる 第83回アカデミー賞助演女優賞にノミネート
助演:ガイ・ピアース (エドワード8世/エドワード)
王位よりも愛を選び、弟バーティに重責を負わせる退位王を演じる 享楽的でありながらも、弟への複雑な感情を抱く兄の姿を、短い出演時間の中で印象的に表現した 後の国王となるバーティとの対比として、彼の奔放さと無責任さが際立つ
助演:マイケル・ガンボン (ジョージ5世)
厳格な国王であり、吃音に悩む息子バーティに強いプレッシャーを与える存在 威厳に満ちた佇まいと、息子への期待と失望が入り混じる複雑な父親像を重厚な演技で表現 王室の伝統と責任を重んじる彼の存在は、バーティの吃音をさらに悪化させる一因となる
脚本・ストーリー
脚本:デヴィッド・サイドラー
吃音を持つ国王という歴史上の事実を基にした感動的な人間ドラマ 古典的な「ヒーローの旅」の構造を踏襲し、個人的な問題を抱えた主人公が、型破りなセラピストとの出会いを経て成長し、大役を果たす ライオネルとバーティという身分違いの二人が、互いの壁を乗り越えて友情を築く過程を丁寧に描写し、その会話劇が物語の推進力となる 吃音の治療シーンを通じて、バーティの過去のトラウマや、王室の抑圧的な環境が明らかになり、深みを持たせる 第83回アカデミー賞脚本賞を受賞
映像・美術衣装
映像(撮影:ダニー・コーエン)
全体的に抑えた色調と柔らかな光が特徴的で、1930年代の英国の重厚な雰囲気を再現 吃音によるバーティの内面の閉塞感を表現するため、広角レンズやクローズアップを効果的に使用し、視覚的な圧迫感を生み出す ライオネルの診療所は対照的に温かい色調で、解放的な雰囲気を醸し出す
美術・衣装(美術:イヴ・スチュワート、ジュディ・ファー / 衣装:ジェニー・ビーヴァン)
当時の英国王室の豪華で格式高いインテリアや調度品を忠実に再現 ライオネルの診療所は、雑然としつつも人間味あふれる空間として、王室とのコントラストを際立たせる 衣装は、それぞれの階級と個性を的確に反映 エリザベス妃の洗練された衣装は、王室の威厳と彼女の芯の強さを表現
音楽
音楽:アレクサンドル・デプラ
感情を煽りすぎることなく、物語に寄り添う抑制的で美しいスコア ピアノとストリングスを基調としたミニマルな楽曲が、バーティの内面の葛藤と、ライオネルとの静かな交流を繊細に彩る 終盤のスピーチのシーンでは、ベートーヴェン:交響曲第7番 第2楽章が効果的に使用され、歴史的な重みと感動を増幅させる 主題歌はなく、サウンドトラックにはオリジナルスコアと、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」第2楽章などのクラシック楽曲が収録 アレクサンドル・デプラは第83回アカデミー賞作曲賞にノミネート
受賞歴・ノミネート
第83回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞の主要4部門を含む最多12部門にノミネートされ、4部門を受賞 第68回ゴールデングローブ賞では、作品賞(ドラマ部門)にノミネートされ、主演男優賞(ドラマ部門)を受賞 英国アカデミー賞(BAFTA)では、作品賞など7部門を受賞

作品The King's Speech
監督 トム・フーパー 113.5×0.715 81.2
編集 退屈
主演
コリン・ファースA9×3
助演 ジェフリー・ラッシュ A9
脚本・ストーリー デビッド・サイドラー B+7.5×7
撮影・映像 ダニー・コーエン B8
美術・衣装 美術
イブ・スチュワート
衣装
ジェニー・ビーバン A9
音楽 アレクサンドル・デスプラ B8

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honey

4.0 二人のスピーチ

2025年9月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

この映画を一言で表すなら「友情が王をつくった物語」だと思います。表向きは英国王ジョージ6世の吃音克服と戦時下の演説を描いた歴史劇ですが、核心にあるのは彼とローグの間に生まれた深い友情です。

王でありながら人前で言葉を発することに苦しむジョージ6世。彼にとってローグは、単なる言語聴覚士ではなく、心の奥底まで踏み込んでくれる唯一の存在でした。形式を重んじる宮廷では得られない率直な対話、王族である前に「一人の人間」として扱ってくれる安心感。それがジョージの背中を押し、声を届ける力となっていきます。

二人のやり取りには、治療以上の温かさがありました。緊張で声が詰まるときも、ローグは決して苛立たず、冗談やユーモアで空気を和ませます。まるで「お前は一人じゃない」と言い続けているかのよう。友情の支えがあったからこそ、ジョージは国民に向けて堂々と声を響かせることができたのです。

戦争や王室の重責といった大きなテーマを扱いながらも、この作品の魅力は「誰かに寄り添われることで、人は弱さを超えられる」という普遍的な真理にあります。ジョージ6世のスピーチは王の義務であると同時に、友との絆が生んだ奇跡の証でした。

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みやびん

未評価 英語の吃音って? 高貴な方は、それはそれなりに悩みがあるんですね。...

2025年7月7日
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鑑賞方法:映画館

英語の吃音って?
高貴な方は、それはそれなりに悩みがあるんですね。
ヘレナ・ボナム=カーターはここにも出演してる…。アリスの赤の女王、チョコレートのお母さん、ナルシッサ、スウィーニー・トッド…にも出てた。(大竹しのぶに似てるな~といつも思う。)
実話なんですよね?としたら、エドワード8世は純愛を貫いた人というイメージだけど、家族にしたらとんでもない兄ちゃんだったってことになりますね。

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みずようかん