劇場公開日 2011年4月2日

「意図的に生み出された「間」」SOMEWHERE えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0意図的に生み出された「間」

2023年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ホテル暮らしで浮名を流す、気ままな映画スターのもとへ、離婚で母親に引き取られた11歳の娘が転がり込んでくる。

実に大胆で挑戦的な映画。さして起伏のあるストーリー展開ではないにも関わらず、ほとんどの場面にBGMを用いず、ロングショットの固定アングル長回しを多用、演者に意味のある科白らしい科白を吐かせなかったりする。

正直、分かりにくさは否めないところだが、それ以上に、意図的に生み出された「間」が、空疎な人生観、それを憂う心性、父娘双方が、愛想笑いを浮かべながら、何とかして越えられない壁を越えようとするもどかしさを、雄弁に演出する。

主人公と、主人公の駆る超高級なフェラリーとが切なくに重なる。ラストシーンは見事の一言に尽きる。

ちなみに娘役はエル・ファニングは、ダコタ・ファニングの実妹だとか。ご両親、大したもんですね。

えすけん