劇場公開日 2011年7月1日

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「学習しない男たち。でも不滅のワンパターンに期待しています。三度目も!」ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0学習しない男たち。でも不滅のワンパターンに期待しています。三度目も!

2011年7月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 前作のレビューもアップしているのでぜひ参考にしてください。ともかくオープニングからラストまで潔いほど前作とほぽ同じプロットで突き進みます。誰かの結婚式の前日に前祝いで軽く乾杯すること。気がついたら朝で、どこか分からない薄汚れたホテルの部屋で目覚めていて、全く前の晩の記憶がないこと。おまけに大事な人物が消えていること。 そしてお約束どおり、狂言回し役の動物が登場し、行方不明の人物捜しをしているうちに、とんでもないトラブルに巻き込まれていくこと。などなど、見事に展開は一緒です。きっと続編でも、大いなるワンパターンを繰り返すことになるでしょう。それでも飽きさせないのは、より過激になった男たちの悪戦苦闘ぶりをとことん楽しませてくれるからです。けれども肝心要の泥酔時の乱痴気ぶりは、まるで推理ドラマの謎解きのように、お約束通りに伏せられていてしまいます。観客は想像を膨らませながら、男たちの醜態を推理していくのです。だからこれもまたお約束のエンドロールで明かされる“証拠写真”が映し出させると、推理してきた痴態を超えた乱痴気ぶりに、今回も唖然呆然の大爆笑となりました。

 続編の特徴は、バンコクの狸雑な雰囲気を上手く生かしていることです。全開もベガスでホステスとやりたい放題のフィーバーぶりでした。でもでも、そこはバンコク。ホステスといっても、そこら中に美形のゲイがいるのですね。まして泥酔している男たちには、ゲイだか女だかよく分かりません。シラフになって行方不明の花嫁の弟を探索中に、バッタリ昨晩のホステスと再会してしまった男たちは、「気持ちよくて先に射精してしまった。」というホステス台詞に、卒倒してしまいます。タイのゲイの多くはイチモツをつけたままで夜の商売に励んでいるのでありました。シラフでも、男だとは思えない美形なんですね。これは間違えても仕方あるまいと、男たちに同情してしまいました。
 またタイは敬虔な仏教国でもあります。無言の経行を戒とする修行道場は、彼らとは対極の場所であるのに、果敢に乱入して、昨晩何があったか強引に戒を破らせようとするのです。小地蔵的には、仏教への冒涜ではないか不謹慎な!と言いつつも、道場が本シリーズにうってつけのロケーションとなってしまいました。
 またバンコクのデンジャラスな雰囲気もうまく取り込んでいます。勝手に死んでしまった死体を、極秘に隠してしまうところや、町中で弟を探索するところなど、いつ暴漢が襲ってくるか分からない緊迫感に包まれていました。

 それと、本シリーズのキーマンにして、騒動を起こす張本人はいつもアランなんですね。今回の一番可笑しいのは、前回の災難を引き起こしたアランを、結婚式に招待してしまう展開です。花婿となるスチュは、かなり警戒して避けていたのに、あの手この手でアランは、招待されてしまうのです。そして、またまたメンバー全員を泥酔に導いてしまうのですね。いやはや、懲りないというか、アラン恐るべしというべきか(^^ゞ

 さらに本作で見物なのが、猿の名演技です。泥酔した翌朝に、狂言回しのように登場する猿は、男たちを手玉に取ってしまいます。猿芝居というけれど、なかなかの演技でした。

 全体に、お下劣な笑いはさらにパワーアップ。最後は、タイ警察の大捕物が絡むなど、仕掛けも大きくなってはいます。ただラストの弟が見つかるネタバレの筋になって、拙速に結婚式へと問題なくなだれ込む展開には、いささかガッカリしました。やっぱり2作目だったらタイ国軍ぐらいかり出して、ドンパチ始めるくらいの飛躍があっても良かったと思います。
 何しろ弟が見つかるのが、余りにもあっけなく、もう一波乱は描いて欲しかったです。
 またまた泥酔してしまった男たち。二度あることは三度目も、きっとあるだろうなぁぁぁ~!きっとまたアランが「活躍」してしまうからねぇ。

流山の小地蔵