劇場公開日 2011年4月29日

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スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団 : インタビュー

2011年4月28日更新
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「スコット・ピルグリム」主演マイケル・セラ、仲代達矢に心酔しきり

日本のアニメやゲームの影響が色濃く反映された、遊び心満載のアクションコメディ「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」が4月29日から公開される。ゲイの親友と同居する売れないミュージシャンのスコットは、不思議な魅力をもつ女の子ラモーナにひと目ぼれし、彼女の元カレ7人と闘うハメに……。来日したエドガー・ライト監督、主演のマイケル・セラに話を聞いた。(取材・文:本間綾香)

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近ごろハリウッドでブームとなっているギーク系俳優のひとり、セラは「JUNO ジュノ」「スーパーバッド 童貞ウォーズ」「キミに逢えたら!」で“ヘタレ”な男子高校生を演じてきた。しかし、本作ではいつもの役どころと違い、複雑なアクションシーンにも挑戦。恋する女の子を手に入れるため、元カレたちと格闘する主人公スコットを演じている。

初来日したセラは、覚えたての日本語で「オレッテ、カッコイイ?」と挨拶。もともと原作者ブライアン・リー・オマリーのファンだったそうで、「映画の企画を知る前から原作コミックを読んでいたので、出演する機会を与えられてうれしかった。ブライアンもエドガーも(元カレの1人を演じた)ジェイソン・シュワルツマンも、この映画はみんなチョーカッコイイ!」と胸を張る。

「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」など、独創的な作品で知られるライト監督は、本作に人気ゲームやアニメのパロディをふんだんに盛り込んだ。スコットと元カレたちの対決シーンでは、スコットがひとり倒すたびにコインを獲得したり、絶叫するセリフが吹き出しのように描かれる。

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ライト監督のもとには、観客から熱狂的な感想が寄せられているそうで、「それぞれ共感するキャラクターが違うところが面白いね。いちばん気に入ったのは、“この映画は任天堂版『アニー・ホール』だ”というコメントだよ」と笑顔を見せる。

日本人俳優の斉藤慶太&祥太が、双子の元カレ役で出演しており、劇中音楽にはコーネリアスも参加。ライト監督は、「3年前に『ホット・ファズ』のPRで来日したときに、(小山田)圭吾と食事をする機会があって楽曲を依頼したんだ。今回、いちばん最初に出来上がったのが彼の曲だったよ」と語る。

ライト監督とセラがコンビを組むのは、本作が初めて。セラはライト監督を「こんなにエスプレッソをたくさん飲む人は見たことがないよ。そうでもしないと乗り切れないほど、タフな現場だったのかもしれないね。エドガーは3年かけてこの作品を練り、細部までつくり込んだ上で撮影に臨んでいた。ほかの監督の作品は現場でいろんなことが変わるけれど、エドガーは撮影前に絵コンテがそろっていて、すべて頭に入っているんだ」と評し、周到な準備に驚いた様子。対するライト監督は、セラについて「ユーモアのセンスがちょっと変わっているよね。すごく好青年であると同時にふざけたところもあって、一緒にいるといつも楽しいよ。それに、マイケルには普通の人にはない資質がある。セリフ回しも独特」と、すっかり意気投合したようだ。

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「スーパーマリオブラザーズ3」「魂斗羅」といったゲームが得意というセラ。同時に、日本の俳優・仲代達矢が好きという渋い一面もある。「20歳のとき、誕生日プレゼントに『用心棒』のDVDをもらったんだ。僕にとって初めての黒澤明作品で、これを見て以来、仲代さんのファン。『乱』『影武者』『人間の條件』『女が階段を上る時』を見たよ」

本作は、ライト監督にとって記念すべきハリウッド進出作となった。「確かに、これまでの作品に比べて製作費は多かった。でも、ハリウッド映画にはビッグバジェットなのに、それが仕上がりに全然表れていないものがあるよね。僕がいつも心がけているのは、製作費分をきちんとスクリーンに反映させること。今回はその点ですごく満足している」と充実した表情。「いろいろなスタイルがミックスされたビビッドな映画は、アジアにはあるけれど、アメリカやヨーロッパでは見られない。だから、こんなにクレイジーなハリウッド映画を作ることができたことも、誇りに思っているよ」

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