劇場公開日 2009年5月16日

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「風をあつめて」おと・な・り yonda?さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5風をあつめて

2019年11月8日
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映画の終わり近く、鍵の音でその人であると気付く場面がある。ここから始まったくらいの最後に少しだけラブストーリー。同じアパートの隣同士一度も顔を合わせたことはないのだが、ただ互いの生活音だけを記憶している男女。

この手前まではずっとLOWトーンな話が続く。

二人とも夢があり、職場人生の岐路に立たされているからそもそも異性に気がまわっていないというのもある。
男は仕事で成功しているのだが、自分のやりたい事がやれていない。親友でモデルのSHINGO、そのウザ彼女、事務所の社長、友情、仕事、夢みたいのがごちゃ混ぜになってダウナーな日々を過ごす。
女は検定試験とフランス行きの準備の日々。一人暮らしで隣室カップルの声あるあるや、小説のネタにする為に近づいてきたクソメンやネットの嘘つきやらで現状は良くない。

二人は偶然にも中学の同級生だったのだけれど、電話で会話しても全く気が付かない。
その前にアパート壁越し二人で一緒に歌っているけれども電話の声ではわからない。コーヒー豆を挽く音、ドアの風鈴、くしゃみ、カメラ掃除のエアー音、キーチェーンの音。音だけが互いを知る。音・なりだから。
リアルに考えると聞き耳立てたり気持ち悪いことなのだけれど、隣人が出す生活音から心情を察し、何があったかを想像し...一人じゃないみたいな持っていきかたが良かった。

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