闇の子供たち : 新作映画評論

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闇の子供たち

劇場公開日 2008年8月2日
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闇の子供たち 8月2日よりシネマライズほかにてロードショー

見ることだけでは完結しない深刻な社会派ドラマ

画像1(C) 2008 映画「闇の子供たち」製作委員会[拡大画像]

阪本順治監督は守備範囲がひろい。彼の作品は、監督デビュー作「どついたるねん」に始まる男のドラマ、「魂萌え!」のような女性ドラマ、「KT」や「亡国のイージス」などの社会派ドラマに大別できるが、どれも瀬戸際にいる人間を描いて見ごたえがある。今回の「闇の子供たち」は、日本人の臓器移植手術から、タイのアンダーグラウンドで行なわれている幼児売買春、幼児虐待、臓器売買といった、深刻な問題に突入していく社会派ドラマ。できれば避けて通りたくなるような内容で、見ているうちに、心に鉛でもつめこまれたような気分になる。鉄柵の狭い部屋に監禁され、大人のエゴや性癖におしつぶされる子供たちは、川で遊ぶ姿や緑あふれる故郷のシーンがあるからこそ、より耐えられないものになる。そしてエイズだとわかるとまるでゴミのようにビニール袋にいれて捨てられたり、プレイ中に死んだ子供の支払いにサイフからクレジットカードをとり出す白人の姿は、暴力描写以上の衝撃があった。

物語の主役は江口洋介演じるバンコク支局駐在の新聞記者・南部浩行。タイの人々の視点で書かれた梁石日の同名原作小説に、南部が登場するのは真ん中を過ぎたあたりから。にもかかわらず南部を映画の主役にしたことで、阪本が「人身売買受け入れ大国」とも言われる日本人の問題として脚本を書いたことが鮮明に浮かびあがる。彼が撮影中「発狂するほどに責任を感じた」というこの作品は、見ることで完結したりしない。自分が知らなかった厳しい現実が「なぜ起こるのか」を考えさせられる作品だった。

おかむら良

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ABOUT THE MOVIE

  • 闇の子供たち 画像2 [拡大画像]
  • 闇の子供たち
  • 「血と骨」「タクシー狂躁曲」などで知られる梁石日の同名長編小説を「KT」「亡国のイージス」「魂萌え!」の阪本順治監督が映画化。タイの裏社会で行われている幼児売春、人身売買、臓器密売の実態と、その闇に迫る新聞記者(江口洋介)、NGO職員(宮崎あおい)、フリーカメラマン(妻夫木聡)の奮闘がサスペンスフルに描かれる。共演は佐藤浩市、豊原功補、塩見三省、鈴木砂羽ら。
  • 監督・脚本:
    阪本順治
    製作総指揮:
    遠谷信幸
    製作:
    気賀純夫、大里洋吉
    原作:
    梁石日
    撮影:
    笠松則通
    音楽:
    岩代太郎
    出演:
    江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、プライマー・ラッチャタ、プラパドン・スワンバン、塩見三省、鈴木砂羽、豊原功補、佐藤浩市
    2008年日本映画/2時間18分
    配給:
    ゴー・シネマ
  • 8月2日よりシネマライズほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2008 映画「闇の子供たち」製作委員会

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