劇場公開日 2008年11月22日

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「後半の展開がすごい」バンク・ジョブ masakoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0後半の展開がすごい

2008年12月4日

興奮

冒頭に王室スキャンダル写真のシーンが映し出されます。まぁ、こんな写真出回っちゃったら大変だわな。そりゃ必死で取り戻そうとするわ。

この映画、実話に基づいているということで結構衝撃的ではあるし、映画も面白かったのですが、前半のテンポはちょっと悪いです。登場人物の描写を丁寧に描いている為ある程度は仕方ないのかもしれませんが、マティーヌが銀行強盗の話を持ちかけ、実際に地下金庫に侵入するまでが結構長かった。

侵入する為に地下を掘ってる間も、途中休憩したり、無線を傍受されちゃってることに気づかないで無線でやり取りしたり、なんかすごい強盗事件を実行した犯人とは思えないような間抜けな感じなんですよ。

さらに金庫に侵入してからも結構ちんたらしてます。金庫もかなり豪快に壊していくのですが、音聞こえちゃうよ、早く奪って逃げなよ、そんなゆっくりしてる暇ないでしょ、と何故か犯人が捕まらないことを望みながら観ちゃったりして、ともかく、早くしなよーと思いながらずっと観てました。

でも彼らはプロの銀行強盗なわけではなくあくまでも素人だし、運も手伝って成功した計画で、この素人くささが逆にいい味を出していたのかもしれません。違う意味でドキドキでしたよ。見張り役もドンくさいなぁと思ってましたが、彼のミスのおかげで命拾いしてたところもありましたしね。その一見無謀に思えた銀行強盗も運よく成功してしまうのです。

そしてこの映画が面白くなるのはここから。

マティーヌの目的はティムに頼まれたスキャンダル写真だったわけなのですが、貸金庫ってすごいですね。スキャンダルの宝庫??金庫が破られたと知って慌てるロイズ銀行の貸金庫に保管していた人たち。保管していたものが金めのものだけだったら、銀行に賠償請求すればいい、ぐらいに思うのかもしれませんが、貸金庫は中身を報告することなく使える金庫、つまり他人には秘密にしておきたいものが大量に保管されていたわけなんです。

テリー達が奪ったものの中には、ティムに依頼されたスキャンダル写真以外にも何がなんでも流出を阻止したいブツが!

そしてテリー達は銀行強盗を成功させたものの、あらゆる組織から追い詰められていきます。もうこの辺りがドキドキ。でもテリー、なかなか頭がキレます。ただの中古車ディーラーじゃないんですよ。そして命を狙われているとわかっているのに、彼らに自分の優位になるような取引を持ちかけるんです。

後半は金庫に隠されていたものをなんとしてでも奪い返そうとするマフィア、汚職警官、MI-5・・・。そして彼らの駆け引きがテンポよく展開されていきます。後半の展開はドキドキ、ハラハラ、スリル満点でかなり面白かったです。そしてこれもすべて実話なのだとしたらすごい!まさに衝撃のクライム・サスペンスでした。

組織の圧力で闇に葬られた事件。それでも被害者達が大事にしなかったのは、金品だけではなく、人には言いたくない、プライバシーに関わるものを貸金庫に預けていた人が多かったからなのでしょう。実際にこの事件の被害者の多くは被害届を提出していないそうです。何を盗まれたかを人に知られたくなかったということですもんね。

観応えたっぷりで、単館上映なのがもったいないぐらいよく出来た映画だと思いました。

masako