劇場公開日 2008年3月15日

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コントロール : インタビュー

2008年3月13日更新

伝説のミュージシャン、イアン・カーティスを演じたのは、英国の新進俳優サム・ライリー。オーディションではイライジャ・ウッドやキリアン・マーフィといった有名俳優を押さえてこの役を勝ち取ったという、これからが楽しみなひとり。そんな彼にインタビューを行った。(取材・文:立田敦子)

サム・ライリー インタビュー
「普通の男として、素晴しい才能をもったひとりの若者として演じようと思った」

陽光あふれるカンヌにて
陽光あふれるカンヌにて

――どのようにしてイアン・カーティスの役を得たのですか?

「5年も音沙汰がなかったエージェントから電話があって、この伝記映画があると聞いたんだ。まず、マンチェスターでキャスティング・ディレクターに会い、それから(監督の)アントン・コービンに会ったのは3度目のオーディションだった。小さな部屋で何シーンか演じた後、踊ってくれと言われた。僕は踊りながら、もしこれで役がもらえなかったら、今までで最高に屈辱的なオーディションになるだろうって思ってた(笑)。そしたらアントンが最後に、“髪は切らないでおいて”と言ったからチャンスはあるかもと思ったんだ」

サム自身もバンド活動をしているとか
サム自身もバンド活動をしているとか

――あなたも“10,000 things”というバンドで音楽活動をしているそうですが、この映画に参加する前は、イアン・カーティスやジョイ・ディヴィジョンをどのように思っていましたか?

「10代の頃といえば、僕はオアシスの大ファンだった。“Love Will Tear Us Apart”が、ラジオで時々かかっていたのは覚えているけど、ジョイ・ディヴィジョンのファンというわけではなかった。僕がイアン・カーティスの名前を初めて認識したのは、今思えば偶然だけれど、僕がミュージシャンとして活動しはじめたときだった。パブで演奏したとき、そのポスターに僕らのことが、“イアン・カーティスがローリング・ストーンズをやっている”って表現されていたんだよ。で、イアンがジョイ・デイヴィジョンのリードボーカルだってことを知ったんだ。でも今回、役作りのために彼らのライブの映像を見たら、彼らが僕が心から楽しめるバンドだということに気が付いた。“Transmission”を歌っているときのイアン・カーティスの姿には、首筋の毛が逆立つような気がしたよ」

――実際の声やルックスは、あまり似ていませんが、映画の中では、驚くほど似ていますね。どんな風に役作りをしたのですか?

画像3

「実在の人物を演じるわけだから、出来るだけ彼に近づくことが重要だと思った。だから、出来る限りの彼に関する映像を見たよ。当時はビデオカメラもあまり普及していなかったから、イアンのインタビュー映像はなかった。普段の声があまり知られていないことは、僕に有利に働いたかもしれないね。それでも、僕は出来る限り映像から研究して、彼の声を真似ようと飽きるほど練習したよ。実際にセットに行ってバンドと演奏したときは、彼の演技が自然に出来た。自分を忘れて、僕はイアン・カーティスなんだって言い聞かせていたんだ」

――彼の人生や若すぎる死を、同じミュージシャンとして、また、20代の若者としてどう解釈したのですか?

「彼は素晴しい詩人で、謎めいたパフォーマーだった。いつでも、どこか居心地の悪さを感じていたんんじゃないかと思う。ジム・モリソン、カート・コバーン、ジミ・ヘンドリックス。若くして死んだミュージシャンは、みんな偶像化されがちだ。そして、若い人々がそういうものに惹き付けられるのも仕方のないことだと思う。僕も10代の頃は、確かにそういう類のものに憧れたこともある。でも僕は、出来るだけ彼を普通の男として、素晴しい才能をもったひとりの若者として演じようと思ったんだ」

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