劇場公開日 2008年6月7日

「冒頭から、結末が分かってしまうような作品でした。」春よこい 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5冒頭から、結末が分かってしまうような作品でした。

2008年5月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 冒頭から、結末が分かってしまうような作品でした。
 ドラマとしては、よくある話で、借金取りともみ合って誤って殺してしまった夫は、そのまま逃走して音信不通。その後の約4年間、気丈に子供を育てながら、夫の帰りを待つ妻に春は訪れるのか?という絵に描いたようなストーリーでした。

 だいたい指名手配犯の父親の写真を眺めているところを隠し撮りして、「父さん待ってるよ」というタイトルで地方紙社会面の5段ぶち抜き記事になるもんですか。しかし、このあとの筋の展開でどうしてもこの設定が必要なので、無理矢理そういうことにしているのです。
 逃亡した夫の修治だって、相手の方が先に棍棒もって襲いかかったら正当防衛ですよ。そのまま自首して起訴されても、裁判で無罪を勝ち取る可能性があったはずです。何故4年間も逃亡生活をしなくてはいけなかったか、結局その理由は明かされずじまいでした。(監督がそうしたかったのでしょう。)
 そして逃亡先で偶然知り合った聡美という夫を亡くしたばかりの未亡人宅に、上がり込んで時々お邪魔する関係になっても、何もなし。「私淋しいの」と女が呟いているのに手を出さない男がいるもんですか。
 むしろここで関係を持ったしまったうえで、修治が家族の元に戻る決断をするという方が話としては盛り上がったと思います。
 主演の工藤由貴が演じる妻好江役も感情が単調でぱっとしなかったです。

 けれども子役のツヨシを演じた小清水一輝はすごい子役です。すでに『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズには欠かせないキャラになっていますが、この作品でも父修治に対する思慕の思いを全身で演じていました。主役喰っているぞ!

 あと執拗に修治の帰りを付け狙うハイエナのような安藤刑事を宇崎竜童が個性たっぷりに演じていて印象的でした。安藤刑事はしつこいだけでなく。結構人情派なんですよ。このキャラでスピンオフして、刑事ドラマ作ったら面白いなと思いました。

 一番盛り上がったのは、記者の岡本が、名うての安藤刑事を初め張り込みの刑事たちを偽情報で攪乱させ、まんまと修治とのコンタクトに成功するところは痛快でした。といっても所詮は土曜ワイドショーの乗りでしたがね。

 岡本の妻でツヨシの学校の担任をしている洋子(吹石一恵)なんか、完全にいてもいなくてもどっちでもいいじゃあないのという感じになっていましたから、もう少しこの役も活かしたらなぁって思いましたよ。

 ということで2時間退屈でありました。
 試写会の席もまばら、途中で退場した人まで出ましたね。

流山の小地蔵