20世紀少年 インタビュー: 堤幸彦監督が超大作「20世紀少年」に挑んだ理由とは?(2)

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20世紀少年

劇場公開日 2008年8月30日
2008年8月27日更新

堤幸彦監督インタビュー

堤監督は原作ファンを裏切ってはいけないという思いから原作原理主義を貫いたという 堤監督は原作ファンを裏切ってはいけないという思いから原作原理主義を貫いたという

■世紀のビッグ・プロジェクトへの挑戦

——この大作を手掛けるに当たって、まず準備したことは?

「それは原作を読み込むことですよね。読んで読んで10回くらい読み通しました。そして先ほど話した3つのポイントが浮かんできたわけですが、その3つを自分なりに解釈してしまうと非常に主観的な映画になってしまうので、世界中に何千万人もいる原作ファンを裏切ってはいけないという思いから、ここはひとつ原作原理主義を貫いて、『20世紀少年』を完全コピーという枠でとらえようと思ったわけです」

——原作原理主義ということで、原作漫画を台本に張ってカット割りを考えたそうですが、逆に演出しにくいということはありませんでしたか?

演出に困ったときは原作漫画に戻ったという堤監督 演出に困ったときは
原作漫画に戻ったという堤監督

「まったくないですね。最も映画的な漫画なので、漫画的な映画にすればいいわけで、とてもやりやすかったですね。もちろんすべて漫画通りのカット割りというわけではなくて、実際は半分くらいなんです。構成とかストーリーが漫画通りではないわけですから。でも、その使わせてもらった半分は、困ったときの判断基準になるんです。しかもそれが自分の視点ではないということも重要なんです。だからといって、人の服を借りて着ているような感覚ではなかったです。それでも、映画オリジナルの存在感みたいなものはなくならないと思ったし、完全コピーといえども、ヒッチコックの名作をそのままコピーするのではなく、漫画という異なるフォーマットから映画に移し替えるわけですから」

——第1回目のインタビューでお話を聞いた飯沼プロデューサーからは、第1に60年代、70年代の生の熱を知っているということ、第2にサスペンスが撮れるということ、そして、第3に監督がロックンロールの何たるかを知っているということで、監督に指名させていただいたと聞きましたが、堤監督自身はサスペンス演出について何か一家言あるのですか?

「他にもそういう方っていっぱいいると思いますけど、過去の日テレへの貢献度が高いので、選ばれたのかなっていう気もします(笑)。サスペンス演出って別に得意っていうわけでもないですし、僕自身は得意なジャンルも、苦手なジャンルもないですからね。たまたま『ケイゾク』とかサスペンス色の強いものはやったことがあるけども、特に昔からサスペンスが好きで、僕の原点は『死刑台のエレベーター』ですとか言えればカッコいいんですけど、違っていて、植木等だったりするし(笑)」

子供時代のちょっとしたことからサスペンスが生まれていく 子供時代のちょっとしたことから
サスペンスが生まれていく

——堤監督というと、映像を使っての“遊び”が有名ですが、今回はカッチリとしたシナリオがあるので、遊ぶ余裕が無かったのではないですか?

「全編サスペンスということとクールなタッチなので観客が疲れると思って、かなりのギャグを撮ってしまったんですけど、全部切りました。結局編集してみると、浦沢さんの原作通りのクールなタッチで推し進めた方が、余計なギャグが入ったバージョンよりスピード感があって時間が短く感じたんです。不思議でしたね。だからDVDでは全部切ってしまったギャグを集めて、『ギャグの墓場』というコンテンツを作りたいんですけどね(笑)」

——日本一多忙な映画監督といっても過言ではない堤監督ですが、以前、「自虐の詩」で話を聞いた際には、プロジェクトをいくつも抱えていても、分業システムがあるから大丈夫と聞きました。その分業システムというのは具体的にどういったものなのでしょうか?

「きわめて単純なことなんです。まず、今東映で『まぼろしの邪馬台国』を作っているチーム(編集、音、プロデューサー)がいますよね。一方、東宝には『20世紀少年』製作チームがいる。それぞれの連絡係がいるわけですが、彼らがスケジュール調整をして進めるということです。だから極端な話、ダビングを同時に出来るような調整ですね。2班3班といったような形で撮影も同時に出来るようにしています。ただ、キャメラマンと監督の2人の負担は大きくなりますよね。今回の場合だと、2月くらいが一番キツかったですね。昼間に東映の大泉スタジオで『邪馬台国』をやって、そのまま観光バスに乗って移動しながら眠り、埼玉の奥の方で『20世紀少年』を撮って、翌日朝からは再び大泉で『邪馬台国』の撮影っていうのを何日間か続けましたね」

——想像を絶する忙しさですね。

「仕方ないですよね。でも80年代の方がずっと忙しかったんですよ。だから今の忙しさを苦しいと感じたことはありませんね。歳とったから辛いということはあるけど、昔はもっと滅茶苦茶でしたからね。編集も3ついっぺんにやったりしてたんで」

——いくつものプロジェクトを、頭の中でどうやって整理するのですか?

「しません。だって昼に鮨を食って、夜に中華を食えるでしょ。それと同じですよ(笑)」

物語は2章3章へと続く。果たして、ケンヂたちはこのマークを取り戻せるのか!? 物語は2章3章へと続く。果たして、
ケンヂたちはこのマークを取り戻せるのか!?

——今の堤監督の状態は、昼食に、鮨、カレー、中華のすべてを食べているような印象も受けますが?

「それでも全然いいですよ。和洋中のバイキングなんて一番嬉しいじゃないですか(笑)」

——完成した第1章をご覧になった浦沢さんが3度泣いたとおっしゃってましたが、率直なお気持ちは?

「それはありがたいですよねえ。自分ではもっと直したいとか、見る度に色々思いつくんで、感情移入する余裕はないんですけど、そうやって作ったご本人が感激してもらえるっていうのは嬉しい以外の何物でもないですよ」

——これから第2章、第3章と続きますが、どのような映画として完成させたいですか?

「よく話していることですが、第1章で驚かせて、第2章でさらに混乱させて、第3章でなるほどそう来たかと腑に落ちる。そういう3部作にしたいと思ってます」

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