劇場公開日 2012年4月13日

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「100年を経てようやくスクリーンへ」ジョン・カーター αさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0100年を経てようやくスクリーンへ

2012年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

幸せ

どうせ原作なんて読まれてないよな…ってことはわかります。そして、「アバター」や「スター・ウォーズ」に似てると言われるものわかります。しょうがない…。

自分は原作愛読者。あの分厚い創元SF文庫の合本版を計4冊、全11冊を読みました。映画化の話があがってから何年も楽しみに待ったものです…。

だから、原作を全く知らないで見るのとでは、思い入れが違いすぎるだろうなあ…と思ってます。

宣伝のために(?)「ウォルト・ディズニー生誕110周年記念」とかうたっていますが、もっと大事なのは「原作発表から100周年」ってことです。この物語が描かれたのが実に100年前のことです。その世界観が、ようやくこうして映像化されたということが感慨深い。100年たって、ようやく映像化するだけに技術が追いついた。

100年前の作品ですから、内容はもはや古典。現代的にされたといえば、ヒロインの描写が少し強い女性になっていることくらいで、あとは原作をリスペクトしているのがわかりした。でも、だからこそ現代の観客は既視感を覚えるかもしれません…。「アバター」や「スター・ウォーズ」に先を越されてしまったのは事実かもしれませんが、でも、ここまで待ったから、やっと映像化できたというのも事実。

本を読んで想像していた世界が、このクオリティでスクリーンに広がっていることに感動しました。火星の荒涼とした風景はロケ撮影でうまく雰囲気が出されていました。「ロード・オブ・ザ・リング」がニュージーランドの風景を中つ国にしてみせたのと同じように。この手法はとてもよかったと思います。

飛行船や都市のデザインも流線的な美しさと未来感がミックスされてかっこいい。

原作ファンとしては、創元文庫の武部本一郎画伯の挿絵のイメージが強いため、サーク族やウーラのデザインが、少し違うなあ…というのが残念ではありますが。それにしてもウィレム・デフォーやサマンサ・モートンはほとんど役者として顔がわからない状態ですね(笑

注目のテイラー・キッチュはなかなかよかったです。デジャー・ソリス役のリン・コリンズも黒髪なところとかは原作リスペクトですが…うーん、やっぱりちょっと強すぎる?(笑

ま、原作に思い入れがあるぶん、そんなことも思ってしまいますが、あれこれ想像しながら胸ときめかせて読んでいた本が、期待を裏切らない(これが安っぽく出来上がっていたらガッカリでしたが、そこはさすがのディズニー)クオリティで仕上がっていて感無量でした。

α