炎の人ゴッホ

劇場公開日:

解説

後期印象派画家の1人、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの生涯を描いたアーヴィング・ストーンの同名小説の映画化。「青いヴェール」のノーマン・コーウィンが脚色、「お茶と同情」のヴィンセント・ミネリが監督した。撮影は「ボワニー分岐点」のフレディ・ヤング、「最後の銃撃」のラッセル・ハーランの2人、音楽は「悪人への貢物」のミクロス・ローザ。主演は「OK牧場の決斗」のカーク・ダグラス、「道」のアンソニー・クイン。共演は英国の舞台俳優ジェームズ・ドナルド、パメラ・ブラウン、ジャネッタ・ステーキなど。

1956年製作/122分/アメリカ
原題または英題:Lust for Life
配給:MGM
劇場公開日:1957年9月5日

ストーリー

ブラッセルのベルギー伝道委員会が経営する学校を出たヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(カーク・ダグラス)は、司祭としてボルナージュ地方の炭鉱町に、自ら志願してやって来た。そこで彼は、悲惨な労働者の生活を目撃し、教会で説明することが、いかに空虚なものであるかを痛感した。彼らと同じ貧しさに自ら進んで入り、破門され、病気になった彼を、温かい故郷へ連れて帰ったのは画商として成功した弟のテオ(ジェームズ・ドナルド)である。彼はそこで絵を描くことをはじめ、従妹の寡婦ケイに求婚したが拒否されてしまった。彼女を追ってハーグへ出た彼は、とある酒場で貧しい中年の醜女クリスティーナ(パメラ・ブラウン)と結ばれる。無智で、子持ちで、売春をこととする洗濯女、お互いに傷ついた身から生まれた愛情だったが、結果は女の無理解による破綻だった。再び故郷で、絵に全力を打ち込み、やがてパリにあるテオをたずねてフランスに渡った。パリは当時後期印象派が新勢力をもちはじめ、スーラ、ロートレック、ルノアル、それからゴーガン(アンソニー・クイン)が古いアカデミズムを打破するために、自らの個性をのばそうと競っていた。このグループによって、さらに力を得たゴッホは、明るい太陽の光を求めてアルルへうつり、炎のような真夏の野原を、夢中になって描きまくった。この生活と生まれつきの激情が彼の神経を痛めたのであろうか、それから、ゴーガンとの共同生活が失敗し、孤独が彼を責めたてたためか、遂に発狂した上、自ら耳をナイフで切り取る事件を起こした。驚いてかけつけた弟テオはサン・レミイの精神病院に彼を送り、温かい援助を常におしまなかった。ようやく回復にむかい、パリに近いオーヴェールの病院に移ったが、麦畑の中で群れをなす鳥の不気味な姿を描きながら、「だめだ、描けない」という一言をのこして、ゴッホは、自らの脇腹をピストルで射った。「悲しみは決して終らないだろう」と、駆けつけたテオにゴッホは最後の言葉をつぶやきながら息をひきとった。1890年7月29日、真実の画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの37歳の生涯の終わりであった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第29回 アカデミー賞(1957年)

受賞

助演男優賞 アンソニー・クイン

ノミネート

男優賞 カーク・ダグラス
脚色賞 ノーマン・コーウィン
美術賞(カラー)  

第14回 ゴールデングローブ賞(1957年)

受賞

最優秀主演男優賞(ドラマ) カーク・ダグラス

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀助演男優賞 アンソニー・クイン
最優秀監督賞 ビンセント・ミネリ
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映画レビュー

3.5カーク・ダグラスver.のゴッホは情熱に溢れてた

2024年12月5日
iPhoneアプリから投稿

カーク・ダグラスver.のゴッホは情熱に溢れてた

誰かの役に立ちたいという想いがすごく強い人で、それゆえに画家になる前は神父様になろうとしてたのにびっくり

でもすぐカーーっとなるしデリカシーがないところが人から嫌われちゃうところだったのね

絵が売れないからド貧乏でパンとコーヒーしか買えなくて病院に入ることになってもそれでも絵を描きつづけた姿を見てるとなんだか泣けてくる

映画には出てきてないけど、ゴッホを献身的に支えてきた弟テオも半年後には病気で亡くなるのもさらに辛い

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ジュディス

3.0ゴッホをざっくり知るにはいいかも?

2019年5月19日
iPhoneアプリから投稿

ゴッホについて
ほぼ無知な状態で
鑑賞しました。

ゴッホの半生と共に
その時々に描いた作品が
映像として展示されるので
観ながら勉強になるというか
無知な自分には
教養になる映画でした。

映画そのものは
劇伴が一々やかましく
雰囲気を損ねる場面がいくつか
あったため
あまり没入できなかったのですが
時代が時代ですので
仕方がないですね。

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備忘録

3.0晩年の姿があまり感情移入できないので平坦なイメージが残ってしまう

2018年12月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 カーク・ダグラスの特徴である割れたアゴが髭のために見えない。そのヴィンセント。実家に戻って未亡人ケイに求婚するが、あっさり振られてしまう。ケイの家でロウソクの火に手をかざし、会わせてくれるまで帰らないと迫るシーンがすごい。火傷を負い、特別美人でもない年増の女性クリスティーンと結婚する。どうも子供がいる女性が好きみたいだ。

 ようやく絵の才能を認められはじめたが、生活は苦しく、クリスティーンとは別れてしまう。美術商として成功していた弟テオからの仕送りで働く人を中心に絵を描き続けるヴィンセント。やがて印象派の色使いにショックを受け、真剣に勉強をはじめ、ゴーギャンと意気投合することになる。共同生活を始めたものの、ケンカが絶えず、ゴーギャンはゴッホのもとを去るが、ゴッホは寂しさに耐えられなくなって耳を切ってしまう。

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kossy

3.5幸せにはなれない情熱の社会不適合者

2018年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:65点|音楽:65点 )

 思い込みが激しく自己中心的で相手の気持ちを慮ることが出来ない。幸せな生活を夢見ながらもそれが手に入れられない。それもゴッホがまともな社会人としての生活が出来ない無能な人であったから。不幸になって当然、画才がなければただの社会不適合者にすぎない。そのゴッホの強烈な生き方を中心にして史実を基に描き、彼の性格と足跡がそれなりに面白い。

 そんなゴッホは父親ともあれだけもめたのに、弟テオはどうして兄を無条件に支え続けたのだろうか。兄への愛情はいったいどこから来たのだろうか。偉大な才能を認めていたから? でも画家になる前からテオは兄を支え続けていたように思う。もっとテオとの関係を掘り下げて欲しかった。
 それから絵はいくつか作品に登場するが、ゴッホが何を見てどう感じてそれをどう作品として仕上げていったのかという過程が弱い。時代的に欧州に行ってその風景を撮影するというのが難しかったのかもしれないが、風景画家としての評価の高い彼の見たはずの風景が殆ど登場しないのはいただけない。むしろ殆どが作り物の美術を背景にした室内とちょっとした街角での撮影で占められていた。強烈な色彩の画家なのに、作品中の映像はくすんだ色ばかりが印象に残る。

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Cape God