ふたりの女(1960)

劇場公開日:

解説

ヴィットリオ・デ・シーカが六年ぶりに監督した、第二次大戦中のイタリアを舞台にしたドラマ。「狂った情事」の原作者アルベルト・モラヴィアの小説をチェザーレ・ザヴァッティーニが脚色。撮影に当ったのはガボール・ポガニー。音楽はアルマンド・トロバヨーリが担当している。出演するのはソフィア・ローレン、ジャン・ポール・ベルモンド、ラフ・ヴァローネ、新人エレオノーラ・ブラウンなど。製作カルロ・ポンティ。なおこの作品の演技によってソフィア・ローレンは一九六一年度カンヌ映画祭最優秀女優演技賞と、一九六〇年イタリア・銀リボン女優賞を得ている。

1960年製作/イタリア
原題:La Ciociara
配給:MGM
劇場公開日:1961年7月4日

ストーリー

第二次大戦中のイタリア。ローマは連日大空襲をうけていた。夫を亡くし女手一つで食料品店を経営するチェジラ(ソフィア・ローレン)は娘のロゼッタ(エレオノーラ・ブラウン)を連れ故郷の田舎へ疎開しようと決心した。夫の友人で石炭屋をしているジョヴァンニ(ラフ・ヴァローネ)に店の管理を頼もうと出かけるが、彼に愛を告白され、その逞しい体に押倒された。翌日、チェジラはロゼッタを連れ故郷の村に着いたが、すでに疎開者がたくさん来ていた。そんな中の一人ミケーレ青年(ジャン・ポール・ベルモンド)は何かとこの母娘に気を配ってくれた。ロゼッタはいつしか彼を慕うようになったが乙女心の敏感さで、彼が母を愛していることを知っていた。ある日、独軍占領下のこの村に英国兵が潜入、にわかに周囲が波立ち始めた。ムッソリーニ監禁の報が入り、敗残のドイツ兵が姿を見せだした。ミケーレはそのドイツ兵に道案内として拉致されていった。間もなく米軍が戦車を連ねて進駐してきた。戦争は終りだ--チェジラはロゼッタを連れローマへの帰途についた。弱い娘をかばい徒歩で行くチェジラ。母娘は戦火で廃墟と化した教会を見つけ、しばしの休息をとろうと眠りについた。ざわめきとともに北アフリカ植民地兵の一団が入ってきた。彼らは喚声をあげて母娘に襲いかかった。失神からさめたチェジラはボロボロになった自分の服に気づいたが、片隅ではロゼッタが太腿もあらわに仰向いていた。夢遊病者のような娘を助けながらチェジラは通りかかったトラックにのせてもらい、その夜は運転手の若者(レナート・サルヴァトーリ)の家に泊まった。深夜、チェジラはロゼッタが若者と戦勝祝賀パーティにいったこと、ミケーレが死体となって発見されたことを知った。夜明けごろ、ロゼッタが帰ってきた。母は娘をなじったが、娘は感情をなくしてしまったのか平然としていた。が、ミケーレの死を聞くとロゼッタは激しく泣き出した。母娘はいつまでも抱き合っていた。

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2024年1月27日
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マサシ

3.5終戦前後の苛烈な運命

2023年1月21日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

WW2終戦前後のイタリアで疎開した母娘の苛烈な運命を描く作品。佳作です。

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arlecchino

4.0デ・シーカの演出とS・ローレンの演技!

2019年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

知的

華麗で悲劇的な虚無感を見事な演出と縁起で表現しきった名作。戦争が引き起こす悲劇というものを巧みに利用しながら、人間に潜む心理的描写を実に見事に表現している。モノクロながら非常に美しく、力強い映像。ソフィア・ローレンの美貌と技巧が見事に融合した傑作であることは言うまでもない。

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SH

4.0戦争という悲劇

2018年9月24日
PCから投稿

悲しい

怖い

モノクロ。 ソフィア・ローレン/ ジャン・ポール・ベルモンド。
第二次大戦中のイタリア、激動の中で生き抜く母と娘の残酷な日々。
ソフィア・ローレンの張詰めた緊張感が”風と共に去りぬ”のヴィヴィアン・リーを思わせる。

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miharyi
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