ファンタスティック・プラネット

劇場公開日:2025年6月20日

解説・あらすじ

アニメーション作品として史上初めてカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞したSFアニメ。大人向けの長編アニメがほとんど作られていなかった1970~80年代のフランスで、独創的な作品を生み出したルネ・ラルーの長編監督第1作。

地球ではないどこかの惑星。その星には真っ青な肌に赤い目をした巨人ドラーグ族と、彼らから虫けらのように虐げられている人類オム族が住んでいた。ある日、ドラーグ人の知事の娘ティバは、ドラーグ人の子どもたちにいじめられ母を亡くしたオム族の赤ん坊を拾う。ティバは赤ん坊をテールと名付け、ペットとして飼うことになるが……。

フランスのSF作家ステファン・ウルの原作をもとに、幻想的な画風の漫画家・イラストレーターのローラン・トポールが4年の歳月をかけて描いた幻想的な原画を、ルネ・ラルー監督が切り絵アニメーションという手法で完成させた。日本では1985年に劇場初公開。2021年にリバイバル公開。2025年には特集上映「ルネ・ラルー ファンタスティック・コレクション」にて4K修復版が公開。

1973年製作/72分/フランス・チェコスロバキア合作
原題または英題:La Planete sauvage
配給:ザジフィルムズ
劇場公開日:2025年6月20日

その他の公開日:1985年6月21日(日本初公開)、2021年5月28日

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)1973 Les Films Armorial - Argos Films

映画レビュー

3.5 50年前の映画でもここまで斬新とは! いやはや凄い。

2022年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

独特の雰囲気が不気味さを醸し出す。
西洋の宗教画がアニメになって動いているような感じ。

瞑想の仕組みや、知恵の輪、不気味な植物や怪鳥など、独自性のオンパレード。
今観てビシバシ斬新さを感じるって、50年前の公開当時は卒倒ものだったのでは。

最後が少しあっさりだな。

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共感した! 8件)
momokichi

3.5 星新一風味のサイケな夢のような

2022年2月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ファンタジーは自由だ。リアリティの有無などというせせこましいくびきから逃れて、解放された世界で無邪気に遊べる。そんな世界観で綴られた物語から、何を受け取るかもまた自由だ。何かの教訓でも、単なる筋書きの面白さでも、美しさでも怖さでも。

 星新一のショートショートが思い浮かんだ。星新一作品にはよく当然のように宇宙人が出てくる。高度な文明を持っていたり、青い皮膚だったり、人間を誘拐して動物園の動物のように見せ物にしたりする。ドライに描写された非日常の中に、押し付けがましくない寓意が見える。
 遠い未来の世界で宇宙人に飼われ、不都合が起きれば蚊やノミのように殺される人間の物語を見ながら、人間以外の動物から見れば人間の姿や振る舞いはあの宇宙人のように不気味で尊大に見えるんだろうなと思ったりした。

 ただ、分かったような気になれるのはその辺りだけだ。残りの大半は、超越したセンスのビジュアルと斜め上のクライマックスに呆然とするしかない。いちいち驚いている間に置いてきぼりにならないよう付いていくのに精一杯だ。
 ドラーグ族の姿はもちろん、次から次へと登場するよく分からない動植物とその生態。どれも独創的でアートセンスを感じるが、何故か見ていて不安になる。ティバの学習ヘッドギアや飼われている人間のファッションなど、ごく一部かわいい要素も点在するので余計にカオスだ。
 極め付けは、ドラーグ族の瞑想シーンだ。その色使いとサウンド、4人並んで瞑想する場面で体が変形する様子などは、何だか脳みその中を直接かき回されているような、催眠をかけられているような、謎の感触があった。ホラー映画のような怖さではなく、洗脳ビデオのような、うっかりすると取り込まれそうなちょっとした恐怖。

 夢野久作の「ドグラ・マグラ」という、読むと気が狂うという歌い文句の小説がある。なぜそのように言われるかというと、狂人の精神状態を主観で描写しているかのようなくだりがあるからだ(私の解釈です)。この本を読んだ時に感じた、脳内に不可解なものがぬるりと入ってくるような恐怖と、本作の謎めいた感触はよく似ている気がした。
 理屈では捉えきれないが、言葉にならないこの不穏な感触、嫌いじゃない。

 徹頭徹尾振り切ったイマジネーションとシュールなビジュアルで固められた中、アップになった時の人間の顔とお婆さんのおっぱいの垂れ具合だけがやたら現実味があるのがまた独特の雰囲気を醸し出していた。
 深夜にNHKBSで放送していたものを録画して観たが、リアルタイムで真夜中に観ていたら何かを持っていかれていたような気がする(妄想)。ドラーグ族の瞑想のように……

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ニコ

1.5 étrangeté

2025年8月23日
iPhoneアプリから投稿

怖い

難しい

伊藤潤二氏のホラー漫画の異国版を見ているかのような奇妙な違和感をずっと味わう羽目になる作品

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共感した! 0件)
寝落ちマン(次男)

3.0 1973年の作品とは思えない斬新さ

2025年8月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ルネ・ラルーの他2作を鑑賞し、本作に臨んだ。

キャラクターデザイン、色、音楽のつかい方、
ストーリーや設定など、今観ても全く色褪せない斬新さで
驚いた。
私は諸星大二郎を頭に浮かべてしまった。

どこからシュールで、どこかエロティックでもあり、
残虐でもあり、実に刺激的な作品である。

人間と巨人ドラーグ族との関係性を
うまく脚本で紡ぎ上げており、異種共存の大事さを物語っていると思った。

とにかく見た目のインパクト大だし、キャラクターの表情や動きも
独自固有で実に興味深かった。

宮崎で劇場上映してくれて、本当にうれしい。

コメントする 1件)
共感した! 11件)
ひでちゃぴん