肉体の悪魔(1971)

劇場公開日:

解説

十七世紀のフランス。宗教的戒律の裏に潜む性の不道徳性に煩悶する尼僧の心理を利用した、地方都市ルーダンの政治的策謀が巧妙になし遂げられた。この事件に興味を覚えたイギリスの文豪オルダス・ハクスレーは、二十年前『ルーダンの悪魔』を執筆、このハクスレーの小説をジョン・ホワイティングが『悪魔たち』で劇化し、この映画は、その小説と戯曲をもとに、「恋する女たち」の監督ケン・ラッセルと「クリスマス・キャロル」のプロデューサー、ロバート・H・ソロが共同製作した作品である。監督・脚本はケン・ラッセル、撮影はデイヴィッド・ワトキン、美術はロバート・カートライト、衣装デザインは監督夫人のシャーリー・ラッセル、音楽はピーター・マクスウェル・デイヴィス、編集はマイケル・ブラッドセルが各々担当。出演は「裸足のイサドラ」のヴァネッサ・レッドグレイヴ、「恋する女たち」のオリヴァー・リード、ダッドリー・サットン、マックス・エイドリアン、ジェンマ・ジョーンズ、マレー・メルヴィン、マイケル・ゴザード、ジョージナ・ヘイル、ブライアン・マーフィー、クリストファー・ローグ、グラハム・アーミテージなど。

1971年製作/イギリス
原題:The Devils
配給:ワーナー・ブラザース
劇場公開日:1971年10月30日

ストーリー

十七世紀、フランスの政情の紊乱は目をおおうべきものであった。ルイ十三世(G・アーミテージ)はカーディナル・リシェリュー(G・ローグ)の傀儡と化し、プロテスタントと貴族との確執は絶えることがなかった。リシュリューの策謀によって、地方都市の自治体制廃止が布告され、フランス西の地方都市ルーダンにも、城壁破壊の命をおびたリシュリューの手先ローバルドモン(D・サットン)が乗り込んだ。ところがこのルーダンには、思いがけぬ妨害者がいた。ユルバン・グランディエ(O・リード)という三十五歳の司祭である。素晴らしい男性的魅力を備えたグランディエは、町の女たちの垂涎の的である。しかも行政長官トランカンの娘フィリップに私生児まで生ませておきながら、マドレーヌ(J・ジョーンズ)と禁制をおかした結婚式をあげようとして、人々のひんしゅくをかっていた。高い城壁をめぐらせたルーダンにはユルシュル派の尼僧院があり、猫背ぎみだが美しい顔をした僧院長ジャンヌ・デザンジュ(V・レッドグレーブ)以下、多くの尼僧が厳しい戒律生活を送っていた。禁欲を強いられる僧院生活のジャンヌは、まだ見ぬグランディエの噂高い性的魅力の虜となり、みだらな妄想を抱いては悶々とした夜を過ごしていた。マドレーヌとの結婚の噂を聞いたジャンヌは、激しい嫉妬心をもやし、グランディエを僧職の身にあるまじき淫蕩な妖術使いだとして訴え出た。日頃からグランディエ失墜の機をうかがっていたローバルドモン、トランカンをはじめ、ミニヨン神父(M・メルビン)、祈祷医師のアダム(B・マーフィ)、イベール(M・アドリアン)たちは、のがさずこれを巧みに利用した。彼らは悪魔払いの祈祷師バール神父を呼び寄せたのだ。こうして、フランス宗教史上にもかって例を見なかったほどの凄まじい悪魔払い式が始まった。まずジャンヌが祈祷を受け、彼女のあげる凄い絶叫は、尼僧たちに異様な反響を巻き起した。ジュディッド尼がケイレン状態におちいり、一瞬の間にそれは尼僧たちみんなに伝染した。神父たちの策謀を見破ったランジェ、ルグランの二人は、有無を言わせず逮捕され、尼僧たちの狂乱はますます激しく、彼女らの抱く夢想はますます非現実的、堕落的になっていった。集団的ヒステリーの中、尼僧たちの虚言はそのまま信じられ、あくまで疑惑を捨てきれぬ人々は容赦なく逮捕された。遂に裁判にかけられたグランディエにはすぐに有罪の判決が下り牢獄に入れられ、自白を強いられてあらゆる拷問がかせられた。グランディエが火刑に処せられる日、ルーダンの町の広場は妖術使いの司祭の断末魔を一目見んとする群集で埋まった。始まった火刑の陰惨な光景に狂喜し絶叫する群集の背後では、ローバルドモンたちによる城壁の破壊がおこなわれていた。

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