劇場公開日 1976年9月18日

「ノーマル アブノーマル」タクシードライバー グダールさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ノーマル アブノーマル

2016年8月19日
iPhoneアプリから投稿

人間にとって、狂気とはなにか。人間にとって正気とはなにか。

大統領候補暗殺を企て、それに失敗し、腹いせに幼児売春の元締めを皆殺しにする。
この一連の流れは狂気としか言いようがない。

しかし、この映画の中で世間の人たちは、トラヴィスを英雄として祭り上げた。トラヴィスを正気の人間として無罪放免とした。
売春の元締めを皆殺しにして少女を救い出したという事実ただ一点をもって。

狂気に満ちた一人の人間を描き、また、狂気に満ちた人間を英雄として祭り上げるというトラヴィス以上に狂気に満ちた社会を描いている。

ベトナム戦争後のアメリカの閉塞感、静寂、狂気を描いた傑作だ。

グダール