劇場公開日 1985年7月6日

「デュラン・デュラン〜♪」007/美しき獲物たち pipiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5デュラン・デュラン〜♪

2021年9月23日
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鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

興奮

ムーアボンドとして有終の美を飾る本作はシリアス路線の原点回帰であった。焼き直しというよりは「ゴールドフィンガーパターン」「ゴールドフィンガースタイル」という型だと考えた方が相応しいように思う。
ムーア自身は、1番嫌いな映画と言っているそうだけれど。
ユア・アイズ・オンリーに続く秀作だと思うけどねぇ。つくづくムーアとは好みが合わないなぁ(笑)
冒頭、ウォッカとキャビアを出したので「お?ムーアボンドもついにウォッカマティーニを受け入れたか?」と思ったが、そういう端々もムーアが気に入らないポイントかもしれないね。

ようやく「馴染み深い時代」に辿り着いた感もある。シリコンバレーなんて第三次産業革命の象徴だものね。
冒頭、雪山アクションのスノーボードは「バックトゥザフューチャー」のパロディかな?と思った。(スノボ流行前だし)

ソ連脱出の手段は氷塊に擬装した小型艇。なるほど、白鳥→ワニから続いた擬装もようやくここまで進化したかw
瞠目するのは、オッドジョブの位置になんとボンドガールをもってきた事!
これには驚かされた。グレース・ジョーンズ演じるメイデイである。

グラント→オッドジョブ→ジョーズなど「ボスを守る屈強な武闘派」が女性であるだけでも新しいのに、なんと正統派BGのタニア・ロバーツに勝るとも劣らない存在感で作中あらゆる名場面で活躍する。
まるで強化サイボーグなんじゃないか?と疑いたくなる女丈夫であるメイデイ。愛を囁かれた経験など、ゾリンとボンドくらいのものだったのではあるまいか?(ゾリンと同じようにステロイド&試験管ベビーかな?と思いましたがそういうわけではないみたいですね)

愛されていると信じたゾリンの裏切り。「思い知るがいい」とばかりにゾリンの計画を水泡に帰す姿を見せつけ、壮絶な最期を遂げる彼女。
(今作でボンドと一緒に卒業のマネーペニーがカビーに「Mに昇格させてくれないか」と尋ねたそうだが。そんな回があっても良かったかもしれないね。まぁ、慰労ご褒美は華やかなピンクのドレスと帽子に留まりました)

メイデイとの対比の為に、黒髪を金髪に染めて演じたタニア・ロバーツ。でも本作以降、ずっと金髪にしていたような気がする。アメリカ人にもブロンドコンプレックスみたいなものはあるのかなぁ。
脇を固める敵役ゾリンには「ディアハンター」のクリストファー・ウォーケン。これで面白くならないはずがない。

ボンドカーはタクシーのルノー11。この時代の車は1番好きだし安心するけどボンドカーとしてはちょっと地味。
ロールスはカーチェイスしていないし、オークションで本作のボンドカーとして「パトカー」が5000円くらいで売ってたよ?あれをボンドカー扱いするのって、ちょっとどうよw
しかして「アクション」という括りならば、今回は「これでもかー!」という良質アクションおてんこ盛り♪

冒頭の雪山始め、エッフェル塔登りからのド派手な追跡劇、荒駒にてトラップ障害走からの林中疾駆、水中自動車や火災エレベーターからの脱出、そしてお約束の空中ぶら下がり追跡。
目玉は、なんとゴールデンゲートブリッジでの決戦。(ヒーロースーツなどの無い生身の人間が闘う場所ではありませんw)
それぞれ専門のスタントが演ってくれてるから、いずれのアクションシーンもお見事!(ムーアのアップシーンだけ、たまに合成が気になっちゃうけど野暮は言いっこ無しって事でw)

最後になってしまったが、Duran Duranのファンだったので主題歌起用は嬉しくもあり、複雑な気分。
(子供の頃、自分で初めて買った洋楽レコードはRioとSeven and the Ragged Tigerだった)
それまでUKロック好きや洋楽ファンくらいしか聴かなかったのが一気に日本中で有名になっちゃったものね。
(まぁ、サントリーCMのせいでIs There Something I Should Know?とThe Reflexは知られてたけど)

改めて振り返れば、80年代半ばまで「007」という作品を生き残らせ、息の長いシリーズ作品として後世にバトンを渡したのはムーアの功績だと言える。ゴゴール将軍がレーニン勲章を贈る演出もニクい。
心からの謝意を伝えたい。
ありがとう!ロジャー・ムーア!
長い間、お疲れ様でした。

pipi
Mさんのコメント
2024年1月26日

みなさん、レビューでロジャー・ムーアに感謝の言葉を書かれているのがおもしろいですね!

M