ジョニーは戦場へ行った

劇場公開日:

ジョニーは戦場へ行った

解説

戦場で両手、両足、耳、眼、口を失い、第1次世界大戦が終わってから15年近く生き続けたイギリス将校が実在したという事実をヒントに、ダルトン・トランボが1939年に発表した小説「ジョニーは銃をとった」を、トランボ自ら脚本・監督した反戦映画。なお1971年カンヌ映画祭審査員特別賞、日本でも72年度芸術祭大賞を受賞した。製作はブルース・キャンベル、撮影はジュールス・ブレンナー、編集ミリー・ムーアが各々担当。出演はティモシー・ボトムズ、キャシー・フィールズ、ドナルド・サザーランド、ジェイソン・ロバーズ、マーシャ・ハント、ダイアン・ヴァーシ、エドワード・フランツなど。

1971年製作/アメリカ
原題:Johnny Got His Gun
配給:ヘラルド映画
劇場公開日:1973年4月7日

ストーリー

第1次大戦にアメリカが参戦し、中西部コロラド州の青年ジョー・ボナム(ティモシー・ボトムズ)は、ヨーロッパの戦場へと出征していった。鼓膜を引き裂くような不快音をたてて落下してくる砲弾が炸裂し、大地がわれる。--ジョーはいま、<姓名不詳重傷兵第407号>として、前線の手術室に横たわっている。延髄と性器だけが助かり、心臓は動いていた・軍医長テイラリー(エドワード・フランツ)は「もう死者と同じように何も感じない、意識もない男を生かしておくのは、彼から我々が学ぶためだ」と説明した。こうして<407号>と呼ばれるようになったジョーが陸軍病院に運ばれた。出征する前夜のことを、ジョーの意識はかけめぐる--カリーン(キャシー・フィールズ)は小さくて可愛らしい娘だった。彼女の父親の許しがあって、ジョーとカリーンは残り少ない時間を寝室で過ごす。そして出征の朝。駅には愛国歌が流れ、ごったがえしていた。涙を流すカリーンを抱きしめ、ジョーは軍用列車に乗った。--ジョーはあの時、泥水のたまった穴の底で、砲弾にやられたのだ。軍医長の命令で<407号>は人目につかない場所に移されることになり、倉庫に運び込まれた。かゆかった。腕のつけ根あたりがかゆい。ところが何もないのだ。両手も、両足もないらしい。切らないでくれと頼んだのに。こんな姿で生かしておく医者なんて人間じゃない。--ジョーは少年時代を思い出していた。父(ジェイソン・ロバーズ)は貧しかったが特別な釣竿を作るのが好きで、いつも手を動かしていた。そんな平和な家庭にも不幸な出来事が起こった。ジョーが働くようになって間もなく父が死んだのだ。母(マーシャ・ハント)は気丈に耐えていたが、幼い妹たちは床にうずくまっていた。--顔をおおっているマスクを変える時、あらゆる神経を総動員してジョーはさぐってみた。舌がなかった。アゴがなかった。眼も、口も、鼻もなかった。額の下までえぐられているのだ。ある日、ジョーは何かが額にさわるのを感じた。そうだ、これは太陽だ。あのなつかしい暖かさ、そのにおい。ジョーは、野原で真っ裸で陽の光を浴びていたあの日のことを思いだした。--ジョーは悪夢のような戦場での体験を思いおこしていた。その夜、塹壕の中で悪臭を放つドイツ兵の死体を埋めていた。その最中に、あの長い砲弾のうなりがのしかかり、強烈な白熱が眼前にとび散り、それきり暗黒の世界にしずみこんでしまった。--<407号>は新しいベッドに移し変えられた。看護婦(ダイアン・ヴァーシ)も変わった。その看護婦はジョーのために涙を流し、小瓶に赤いバラを1輪、いけてくれた。やがて雪が降り、看護婦は<407号>の胸に指で文字を書き始めた。M・E・R・Y。メリー、…そうか、今日はクリスマスなのか…ぼくもいうよ看護婦さん。メリー・クリスマス!--クリスマスの夜ジョーの勤め先のパン工場は熱気にあふれていた。皆はダンスを楽しんだ。父はジョーにいった。何もいえないなら電報をうて、モースルだ。頭を使うんだ。--その日、<407号>が頭を枕にたたきつけているのを見た看護婦は軍医を呼んだ。数日して、テイラリーと神父が倉庫を訪れた。頭を枕にうちつける<407号>を見た将校は「SOSのモールス信号です。」といった。将校は<407号>の額にモールス信号を送った。「君は何を望むのか…」「外にでたい。人々にぼくを見せてくれ、できないならころしてくれ」上官は愕然とした。そして一切の他言を禁じた。それに対し神父がなじった。「こんな蛮行を信仰でかばいたくない。諸君の職業が彼を生んだのだ!」一同が去ったあと、1人残った看護婦は、殺してくれと訴えつづける<407号>の肺に空気を送り込む管を閉じた。しかし、戻ってきた上官がこれを止め、看護婦を追いだしてしまった。倉庫の窓は閉ざされ、黒いカーテンが全てをかくした。暗闇にジョーだけが残された。…ぼくはこれ以上このままでいたくない。SOS、助けてくれ、SOS…その声なき叫びはいつまでもひびいている。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第24回 カンヌ国際映画祭(1971年)

受賞

審査員特別グランプリ ダルトン・トランボ
国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞 ダルトン・トランボ

出品

出品作品 ダルトン・トランボ
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1

写真:Album/アフロ

映画レビュー

テーマが難しい。反戦ってこうなりたくなければ戦争に参加しないってこ...

2024年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

難しい

テーマが難しい。反戦ってこうなりたくなければ戦争に参加しないってことのなの?
看護婦のメリークリスマスのシーンは泣きたくなるような何も言えないような感傷がこみ上げてきた
慈悲(なのかわからないが)も止められ、もがき苦しむ生き地獄とは
やっぱ生きてるだけがし幸せじゃないのか、尊厳死という選択肢はあった方がいいのか、この辺りを考えさせられる
というか現代でもジョーの状態って事故や病気でなる可能性があるから怖い、、、

コメントする (0件)
共感した! 0件)
UPtwHmNNLjBjFuAF

3.0自分だったら…と想像すると、よりキツいラスト

2023年8月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
870

3.0忘れたい

2023年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

反戦映画ですから
重かろうとは思っていましたがここまでとは…。

戦争モノも色々ありますが
凄惨なシーンとか非道な大虐殺とか、
もちろんそれらのシーンも慣れてしまっては
本当はいけないのでしょうけども
この映画のキツさったら…。

実際にこういった状況になられた
兵士も一人二人ではなかったのだろう。
そう思うとまた落ち込む。
息をすることに絶望しか見出せない生って。
遺言があれって。

正直観たくなかった。
忘れたいくらいです。
駄作ともつまらないともおもわないが
あんまりにも心に傷を負わす。
絶対に戦争はいけないと胸に刻まれる。

個人的な好みの問題です。
映画にはこういう強いメッセージのものも
なきゃいけないとは思うけども好きじゃない。
私はどこかに娯楽性が欲しい派。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
こまめぞう

4.0戦争反対

2023年6月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

戦争によって、自分で死ぬことも出来ないと言う最悪の事態になることもあるというアイロニー。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
あっちゃんのパパと
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る