劇場公開日 1975年2月8日

「刺激的なハイテンポ」サブウェイ・パニック つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0刺激的なハイテンポ

2023年12月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

映像だけではなく内容的にもかなり古いというのが最初の印象。今なら確実に袋叩きにあうような薄めのストーリーだし、何でそうなる?と首を傾げる杜撰さもあるよね。それに女性蔑視発言なんかもあって、これなんか後で回収される伏線かなとか考えてしまったけど、本当にただの悪口だったからね。ちょっとビックリだよね。

それでもなんとなく面白く観られたのは、一番に全体のスピーディーさがあるよね。
ジョークを言うようにストーリーの情報を発言させたりして必要な場面数を減らしてるし、会話の大半が無線によるものだからシーン変化が多様で目まぐるしく場面転換しているような錯覚に陥り、結果、作品のスピード感が増したと思うね。

その分、考える時間というか、余韻とか余白とかないんだけど、そこはエンディングのラストカットで全部補った感じがするな。
それを担当する主人公ガーバーのキャラクターが第二の見所だと思うね。
彼は出だしこそ、言葉が通じていないと思っている東京の地下鉄幹部にいい加減な事を言ったりして、いかにも不真面目で適当な男のようだったが、事件が発生して以降は正義感を発揮していくし、犯人逮捕に向けて警察らしい活躍もすることになる。
不真面目さと正義感のバランスがガーバーのクセ者感を出してるし、嗅覚の鋭いキレ者のようでもある。それがそのままラストシーンに全部出ていて良かったよね。

70年代のパニックサスペンスだから現代感覚だとどうしてもスケールの小ささで地味に感じてしまうけど、全体的に映画のテンポが遅かった70年代にこのハイテンポ作品は刺激的だったろうなとか考えて観ると面白いかもしれない。

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つとみ