ゲームの規則

劇場公開日:

ゲームの規則

解説・あらすじ

フランスの名匠ジャン・ルノワールが手がけた社会風刺喜劇の名作。アルフレッド・ド・ミュッセの戯曲「マリアンヌの気まぐれ」から着想を得て、ある侯爵の別荘に集う人々が繰り広げる騒動を描いた。

ラ・シュネイ侯爵の領地コリニエールで狩猟の集いが開催されることになった。侯爵と夫人のクリスティーヌが出迎える客人は、大西洋を23時間で横断するという偉業を成し遂げた飛行士アンドレ、その友人でクリスティーヌのよき相談相手でもあるオクターヴ、侯爵の愛人ジュヌヴィエーヴなど、いずれもクセのある人物ばかり。アンドレとクリスティーヌが恋仲なのは社交界では周知の事実だったが、侯爵は、来る者は拒まない寛大な心の持ち主。狩猟から仮装パーティへと宴が続く中、それぞれの人物の思惑が複雑に絡みあい、やがて事態はとんでもない方向へと進んでいく。

第2次世界大戦が目前に迫る1939年に製作され、色恋や享楽を追い求めるブルジョワたちの姿を描いたことで、不謹慎で風俗を乱すとの理由で上映が禁止されたり、短縮版で公開されたりするなど、不運に見舞われた一作。その後、1959年に復元され、日本でも1982年に劇場公開された。2024年、4Kデジタルリマスター版でリバイバル公開。

1939年製作/106分/G/フランス
原題または英題:La regle du jeu
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2024年11月29日

その他の公開日:1982年9月25日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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Copyright 1939, Les Grands Films Classiques

映画レビュー

4.5風前の灯

2025年2月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

物語を要約すると、おもちゃ箱の中に密猟者と飛行士という新しいおもちゃを放り込んだら箱ごとひっくり返った。片付け終わって気がついたら、新しいおもちゃが無くなったけど、まあいっか!そんな感じか。

仏頭の脇で行われる侯爵と愛人の会話。悪趣味だが視覚的にとてもインパクトがある。ここでの会話が、物語全体を表している様に思う。現代のSNS文化同様に、言葉は自己陶酔、自己欺瞞の為の道具だ。それが暗黙の了解でありルールなのだ。

そんな館の住人たちにとっては、他人の愛や命は余興という暖の為に焚べる薪でしか無い。国民的英雄であり自分の妻に懸想する礼儀知らずな青年なんていうのは最高の薪だったのだろう。森番に目をつけられている密猟者は、火付けのための松の葉か。執事が上手く焚き付け、侯爵は自らも火の粉を浴びつつ遊興にふける。この辺りを悪意で無く当然の振る舞いとして行っているから恐ろしい。

この作品が公開されたのは1939年、まさに第二次世界大戦開戦の年。オーストリアはナチスドイツに占領され、トラップ一家は既に国外へ脱出したころあいだろう。翌年にはパリも陥落する。そう考えると館の住人たちは茹でガエルの様にも見えてくる。

そんな館に辟易して最後に立ち去るルノアール。彼には未来がどの様に見えていたのだろうか。そんな事を考えると、あの生々しい狩猟シーンがより恐ろしくなる。

表現力、完成度、芸術性はもちろんのこと、時代感覚の鋭さが凄い。

ココ・シャネルの衣装は、視線を引き付ける力が強い。

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komasa

3.5恋愛ゲーム

2025年2月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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sugar bread

2.0コレが

2025年2月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

寝られる

上流階級の愉しみ?学芸会なの?
コレがジャンルノワール?良さが解らない・・まぁ、殴り合った後急に仲良くなったり、男女共に取っ替え引っ替えだったり、大分人を食ってる様だが。
登場人物の整理が出来ないのもキツイ。ウサギやキジの演技指導は?やはり彼等は・・・。

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トミー

3.0フランス社会の脆弱性を警告

2025年2月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

原題は「遊びのルール」といった感じ。鬼ごっこやかくれんぼのような子どもの遊びの軽い決まりごとを指す。「ゲームの規則」と訳すると狩猟の獲物を指す「ゲーム」とも混同してしまうしもっと重々しい。
時代が第二次世界大戦直前なので、さすがに王朝時代や帝政時代と比べれば、上流社会を描いているといってもかなりカジュアルにはなっている。女性の衣装は簡素化、軽量化しているし、屋敷の住人やゲストと、使用人たちとの関係がそこまで隷属的だったり形式張ったりではなくなってきている。
ところで筋書きとしては狩猟とパーティーの一昼夜を通して、侯爵とその夫人、お互いの婚外パートナーを巡る四角関係?のドタバタを描く。これに使用人たちの三角関係が同時進行し、合計8人の男女が画面狭しと動きまわる。4+3の7人ではないのはジャン・ルノワール監督自身が演じるオクターヴなる人物が狂言回し的に加わっているから。コメディ映画と評する人がいるくらいでスラップスティックな動きが特徴ではあるが実に乾いている。登場人物たちの恋愛はとても刹那的で切実さが全くない。その時々の状況に応じて追いかけっこする子どもめいた恋愛ごっこである。
そもそも狩猟もウサギやキジを撃つが、その獲物を調理して食べるという次のステップがない。単に殺した数だけを競っている非生産的なものである。パーティーの演目も悪ふざけ的な演し物で芸術性は欠片もない。つまりこの侯爵の領地で行われているものごとは、恋愛も含め全てが無意味、無価値である。
映画の最後で、殺人が発生するが、これは侯爵は事故であると断じ、領地内で処理をしてしまう。
それが、この侯爵の「ゲームの規則」なのである。
もちろんある程度のカリカチュアはあると思うが、恐らくジャン・ルノワールが言いたかったのはこの非生産性や非法治性が、それは前近代性とくくっても良いのかもしれないが、当時のフランスの社会全般を覆っており社会の脆弱をもたらしているということなのだろう。
確かに、この数年後、ナチスドイツの侵攻に対しフランスは実に脆く、屈してしまうこととなる。

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あんちゃん