狩人の夜

劇場公開日:

解説

ある狂信者に命をつけ狙われる幼い兄妹の恐怖を描くサスペンス映画。製作はポール・グレゴリー、監督はチャールズ・ロートン。デイヴィス・グラブの原作を基に、脚本はジェームズ・エイジー、撮影はスタンリー・コルデス、音楽はウォルター・シューマンが担当。出演はロバート・ミッチャム、リリアン・ギッシュほか。

1955年製作/アメリカ
原題:The Night of the Hunter
配給:ケイブルホーグ
劇場公開日:1990年3月9日

ストーリー

銀行に押し入り、2人を殺害して1万ドルを奪ったベン(ピーター・グレイヴス)は、娘パール(サリー・ジェーン・ブルース)の人形の中に金を隠し、息子ジョン(ビリー・チャピン)に金のありかを口外するな、と言い残して警察に連行される。やがて彼は死刑になるが、刑務所でこれをかぎつけたハリー(ロバート・ミッチャム)は福音伝道師になりすまし、ベンの妻ウィラ(シェリー・ウインターズ)に接近する。そして2人は結婚するが、ある夜ハリーは子供たちに金のありかを問いつめているのをウィラに目撃され、彼女を殺す。子供たちはハリーへの恐怖から河ヘボートを出し逃亡の旅に出、いつしか身寄りのない子供たちを世話している未亡人ミス・クーバー(リリアン・ギッシュ)の厄介になる。そしてハリーも子供たちの居場所をつきとめるが、彼は子供たちを守る彼女に警察に通報され、連行されてゆく。その時、ジョンの心は、父とハリーが重なって見えるのだった。

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映画レビュー

5.0LOVE & HATE‼️

2024年1月28日
スマートフォンから投稿

悲しい

怖い

興奮

この作品はおとぎ話‼️幼い子供たちを狙って悪いオオカミがやって来る。そんなオオカミを退治したのは、子供たち自身と彼らに優しく寄り添う老婆だった‼️いつの世も絶対悪を打ち倒すのは、屈強なヒーローではなく、社会的に弱い立場の人間たち‼️そんな現在のおとぎ話をダークファンタジー風にスリルとサスペンスたっぷりに描いた超傑作で、ホントに大好きな映画‼️右手に「LOVE」、左手に「HATE」の刺青をして、愛とか憎しみについて説教する冷酷非情なニセ伝道師ロバート・ミッチャムの演技が超サイコで怖過ぎる‼️金を隠したまま死刑になった刑務所仲間の未亡人シェリー・ウィンタースに言葉巧みに近づいて、結婚して殺し、金を持って逃げ出した幼い兄妹をじわじわとうすら笑いを浮かべつつ追いつめ、さらに子供たちをかくまった老女リリアン・ギッシュと対決する‼️昔話を語り始める老婆のような冒頭のリリアン・ギッシュのモノローグ‼️子供たちに近づくミッチャムの影の演出‼️水の中を水草とゆらゆら揺れるシェリー・ウィンタースの死体の髪の毛の美しさ‼️カエル、ウサギ、キツネ、フクロウ、蜘蛛の巣の中を子供たちが小船で必死に逃げるシーンの寓話性‼️ミッチャムが夜な夜な「頼れ、頼れ」と反復歌唱する不気味なシーン‼️ミッチャムとリリアン・ギッシュが聖歌を唱和するシーンなど、印象的なシーンの連続で、チャールズ・ロートンは俳優としてだけではなく、監督としても超一流だったと痛感させられました‼️ホントに監督作がこの一作で終わったのが惜しまれる‼️願わくばあと数作、ロートン監督作を観てみたかったです‼️

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活動写真愛好家

4.0影を使った演出の見た目の良さ。 童話の様な風景 ロバート・ミッチャ...

2023年8月9日
iPhoneアプリから投稿

影を使った演出の見た目の良さ。
童話の様な風景
ロバート・ミッチャムの魅力的な悪役像が魅力的だった。

配信で鑑賞

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madu

4.0よくできた風刺映画

2022年11月1日
iPhoneアプリから投稿

スパイク・リーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』に出てきた左手にHATE、右手にLOVEの刺青が入った黒人がいたが、あれの元ネタが本作らしい。兎にも角にもキャラクタービジュアルという点においてロバート・ミッチャム演じるパウエルほどビビッドで記名性のある登場人物にはなかなかお目にかかれない。HATEて…LOVEて…最初に思いついた奴天才すぎるだろ…紳士的な慇懃さの中に生来の暴力性がふと出来する情緒不安定な感じも印象的だった。

物語はフィルム・ノワール的なサスペンスに始まったかと思えば、徐々にファンタジックで教訓的な御伽噺へと軟化していく。

しかしパウエルだけはそのグラデーションに一切従属することがない。野山を駆ける可愛らしい動物たちや嘘くさいほどに美しい星空や孤児をかくまう優しい老婆との交流などが生み出す心地よい調和の中にも絶えずその怪しい影をちらつかせ、終いには剥き出しの暴力でもって兄妹から強引に遺産を奪い取ろうとする。御伽噺のようにうららかな空間に唐突な暴力が閃く露悪的な構成は、言うなればハリウッドのヤン・シュヴァンクマイエルといった具合だ。

その後、パウエルは意外にもあっさりと警察に捕まる。しかしパウエルが作中にばら撒いた悪意はそこで途絶することがなく、今度は彼の死刑を望む街の人々へと決定的に伝播してしまう。しかし映画はそうした負の連鎖に意図的に背を向け「家族みんなでクリスマスパーティー」というカリカチュアライズされた平和と団欒の中でほとんど強引に幕を閉じる。

本作を当時のハリウッドが認めなかったのもよくわかる。本作は黄金期のハリウッドが豊かな物語によって隠匿してきた死や悪意や不条理といったものごとを、不可解で軽薄な物語を敷設することによって故意に滲出させているからだ。老婆が明らかにカメラ(=我々)の方を見つめながら「子供の忍耐力はすごいんです」などと頓珍漢な作品総括を述べるラストシーンなんかはものすごく策略的だ。

もう一つ印象的だったのは、父との誓いに従って遺産を守り続けてきた兄が、警察に押さえつけられ喘ぎ苦しむパウエルを見て「もういいよ!お金なら全部あげるから!」と泣き出すシーンだ。「父との誓いの死守」という映画的カタルシスを手放してまで眼前の暴力を否定しようとする彼の姿勢は、美しい物語のためであればどんな犠牲も厭わないハリウッドの精神性のまさに対極にあるものだといえる。

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因果

3.5再評価モノは評価高めだね

2021年12月12日
PCから投稿

「再評価」という事前知識で観てる人が殆どだろうから点数はゲタ履いてますね。「捜索者」と同じ。
確かによくできたサスペンスだし、ミッチャム君のサイコパス演技とキャプラ君的ファンタジー映像が同衾しているもの珍しさはあります。
でも、そんなにいきり立つほどの傑作ではない。通常取扱面白映画のひとつです。
あと、聖書の文句がどうやらキーワードらしいので信者じゃない私にはそこんところはわかりません。

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