劇場公開日 2021年5月7日

「理想の紳士淑女を演じるボガートとバーグマンの存在感が素晴らしいハリウッド映画の典型」カサブランカ Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0理想の紳士淑女を演じるボガートとバーグマンの存在感が素晴らしいハリウッド映画の典型

2022年9月19日
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鑑賞方法:TV地上波

名優のハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンの二大スター共演が魅力の典型的なハリウッド映画。太平洋戦争最中の1942年に制作されたことも驚きに値する。戦争とは別世界のハリウッド黄金期の代表作の一本。監督は、職人的手腕を得意とするマイケル・カーティスだが、特に技巧的に優れた演出を見せる訳ではないが、後世に遺る作品になる。それは当時フランス領であったモロッコのエキゾチックな舞台背景、ナチスか絡む政治的緊張感、その中で演じられる理想の紳士と淑女の魅惑的な存在感が素晴らしい理由であろう。ボガートもバーグマンも名演を残す傑作が他に幾らでもあるにも関わらず、この作品が記念碑的に評価されている。特にバーグマンは、前作「ジキル博士とハイド氏」の時は幼さが残る23歳の美人女優だったのが、この作品では大人の女性として映像に映し出されている。制作の意図以上の映画的な成功を収めた、偶然の奇跡が齎した名作と思う。ラストシーンの余韻も素晴らしい。

  1976年 7月9日  地上波テレビ

Gustav