劇場公開日 2022年6月26日

  • 予告編を見る

「アルファ派人生賛歌映画ですね」あこがれ(1957) あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5アルファ派人生賛歌映画ですね

2009年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

幸せ

1957年製作のフランス映画でございます。26分。映画が好きな人なら「ヌーヴェルヴァーグ」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、本作の監督にして巨匠と呼ばれるフランソワ・トリュフォーはその第一人者として知られています。ちなみに本作は、TUTAYAレンタルした「大人は判ってくれない」に収録されていました。

ヌーヴェルヴァーグとは、スタジオ撮影や作為がかった俳優の演出を否定し、屋外撮影、同時録音、即興演技を重視する作法だとか。そこから出てくる内なる抒情を重視するという点でジャズと共通すると思います。

本作は、5人の悪童が主人公。常日頃からあこがれを抱く女性を追いかけ、婚約者がいることを知り、腹いせに婚約者に嫌がらせをするという何でもない内容です。それでも、何でもないのを何でもないままにしないのがフランス映画の特徴。

「あこがれ、おいかけ、婚約者に対して復讐をしてやろうと思い、その感情が恋だということを初めて僕たちは学んだ」のようなセリフが出てくるあたりから、作品が覚醒されてきます。そして、偶然にも不幸が起こり、少年たちの初恋は甘酸っぱいものになるわけなのです。

フランソワ・トリュフォー監督の本作のスタイルを観ていると、その精神はパトリス・ルコント監督までしっかりと受け継がれているのが確認できます。フランス映画というのは、どこか牧歌的でありながら人生の甘い所だけでなく、酸っぱい所もしっかり含んでくる。そして、それでもやはり人生は夢のようなものだと。本当に人を育てる映画って、こういう映画なのだと思ったりします。

これから、またTUTAYAの往復が始まりそうです。

あんゆ~る