劇場公開日 2003年1月25日

「黒猫と白塗り俊雄」呪怨 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0黒猫と白塗り俊雄

2021年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 理佳、勝也、仁美、遠山、いづみ、伽椰子の6章立てはビデオ版『呪怨』(1999)から踏襲された構成。各エピソードの時系列にも仕掛けがあり、戻ったかと思えば未来に繋がっていたりとタイムトラベルしたかのようなSF感もある作品。ただ、ビデオ版の粗い映像から綺麗な映像へと進化したけど、怖さの点では劣るかもしれません。尚、ビデオ版2の最後に声だけ聞こえる女子高生たちのエピソードもある。

 呪怨シリーズで最初に観た作品でしたが、やはり前作前々作にあたるビデオ版を見ていないと面白さは半減すると感じます。佐伯家、村上家、北田家と住人が変化し、今作では次の徳永家がメイン。介護ボランティアの仁科理佳(奥菜)が異変に気付き、サチエ婆さんの恐怖シーンを見たため理佳自身も倒れてしまい、主人である勝也(津田寛治)と和美の夫婦も行方不明となってしまう。

 勝也の妹・仁美(伊藤)も自宅で布団の中に引きずり込まれてしまうし、女子高生・遠山いづみ(上原)も仏壇の中に引きずり込まれるという神隠しの事件。そしていづみの友人3人も行方知れず。死ぬというより消えた!といった展開が多い。そんな不条理ホラーの中にあって、元刑事の遠山(田中要次)が監視ビデオの中に伽椰子の亡霊を見たために徳永家を燃やそうと画策するのだが、そこで出会ったのが10年後の娘・いづみという面白さ。いづみの章では遠山が死んだことになっているタイムパラドクスが絶妙なのだ。

 残念な部分としては、最初の俊雄がノーメイクなのに後にはすべて白塗りになっていること。事件が起こって立ち入り禁止になるほどの遠山家に家庭訪問に行くことなどに矛盾を感じてしまう。原因(なぜ呪うようになったか)と結果(あの人はどうなったの?)・・・これが圧倒的に不足しているため各章での恐怖シーンもぶつ切り状態のまま頭を傾げてしまう。この作品を最初に選ぶと、評価が下がってしまうこと間違いなし!

 冒頭のモノクロのプロローグで佐伯剛雄が一人息子俊雄の黒猫「マー」を虐待するシーンがあり、剛雄が伽椰子を殺したのだろうと想像できるシーンも途中にある。また、津田寛治の憑りつかれたような呟きにより、剛雄が俊雄を自分の子じゃないと疑ってると思わせるシーンもある。こういうの大事!

 効果音による驚愕、いきなり登場する白塗俊雄、黒猫がいっぱい・・・ドキッとするシーンはいくつもあるのに、主人公(?)となる目線がころころ変わるため恐怖にも感情移入できないまま。理佳の章と伽椰子の章の時系列もどちらが先か考えさせられるし、気持ちよく没入できないのも残念でした。レビューも支離滅裂気味となりましたが、やっぱり遠山いづみのパートが一番だったかな・・・

kossy