劇場公開日 1957年9月29日

鷲と鷹(1957)のレビュー・感想・評価

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4.5日活無国籍アクション映画の輝けるスタートにして金字塔です

2020年2月21日
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これは面白い!
日本映画の枠を超えた傑作アクション映画です
しかもワイドカラー

タイトルバックの背景はそのワイドカラーの画面一杯に夕陽に染まる大海原
しかもカメラは船上にあり、ローリングの具合からヨットのような小船ではないと分かります
その映像はまるでデビッドリーン監督作品のような雄大な映像美をみせており、おおーっと前のめりになりました

それだけでなく全編どのシーンでもカメラと照明がいい仕事をしています
映像自体が日本放れしているのです

1000トンの貨物船を貸し切って、東京から門司まで実際に航海してその船上で粗方のシーンを撮影しているのです

無国籍風、よくいえば日本放れした貧乏臭くない設定、衣装、展開、台詞です

それが1957年昭和32年の作品なんだから恐れいります

日活アクション映画路線の方向性を決定づけた成功作品かつ重要作品だと思います

鷲と鷹という題名は、二人のいずれ劣らぬヒーローがいるということです
鷲と鷹、どちらも大型の猛禽です
鷲は些細なことでも気が付き、獲物に襲いかかる
鷹は高いところから獲物を見つけて一気に飛びかかる
もちろん鷲は石原裕次郎の演じる主人公千吉です
鷹は三國連太郎が演じる謎の男佐々木のことです

物語は冒頭の殺人事件こそ陸上シーンですが、出港間際の貨物船に主要な登場人物が全員揃うとあとはもうほぼ洋上の貨物船で進行します

実際に俳優達を乗せて撮影しながらの航海です
一部の船室や暴風雨のシーンこそセットですが、大海原を緩やかにローリングして進んでいく、その1000トンの貨物船の船上で撮影されています

石原裕次郎のカッコ良さたらありません
23歳です
初登場シーンだけで痺れます
高身長、長い脚、鞭のようにしなやかな肢体、逞しい筋肉、大きくシャツの前をはだけてみせる浅黒い日焼けした肌
少年のようなあどけなさの残る爽やかな笑顔
白黒作品の太陽の季節、狂った果実で観る裕次郎もカッコ良いのですが、本作のこの裕次郎はもう別次元です
カラーのワイド画面に登場する石原裕次郎はスターそのものです

三國連太郎は本作では若い兄貴のような男です
34歳です
上半身をいつも裸で逞しい筋肉を見せています
終盤は真っ白な麻のスーツを小粋に着こなし颯爽と現れます

そしてヒロインも二人
浅丘ルリ子17歳と月丘夢路35歳です
浅丘は船長の娘役、月丘は裕次郎の演じる若いお恋人を追いかけていた酒場女役
どちらも密航してきた設定です

浅丘ルリ子の美しさといったら!
小さくて細くて可憐で、まとうAラインのノースリーブのドレスの似合うこと!
一目でノックアウトされました

月丘夢路も負けてはいません
登場シーンこそルンペン風ですが、次のシーンからは女盛りの肢体、高い鼻筋、尖った顎、日本放れした美貌です
特に胸の大きさは目が釘付けになります
可憐な浅丘ルリ子が本命でも、目の前に月丘夢路がいればつい目が眩んで……という存在です
35歳でも浅丘ルリ子には負けてはいないのです
本作の井上梅次監督は彼女と翌年結婚しています
目がくらんだくちかも知れません

そして脇役陣もまたすごい
気の弱い一等航海士役の長門裕之始め、甲板長役の澤村國太郎、料理人役の柳沢真一、甲板員仲間の西村晃、安部徹といった芸達者ばかり

脚本もこなれていて、特に終盤の時効間際の甲板長のびくつき、艀のなかでの三國連太郎の憎いセリフ
気の弱い航海士が、そっと浅丘ルリ子の肩に手を回す
全て伏線の回収です

クライマックの暴風雨のシーンは大迫力です
次回作嵐を呼ぶ男の嵐を呼ぶぜの文言は本作を思い出す仕掛けになっているわけです

本作の劇中歌の鷲と鷹と、この嵐を呼ぶ男の主題歌はカップリングのシングルとなって発売され、当時の大ヒットシングルになっています

日活無国籍アクション映画の輝けるスタートにして金字塔です

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あき240