劇場公開日 1967年1月3日

陸軍中野学校 竜三号指令のレビュー・感想・評価

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4.5これは凄い!日本のスパイ映画の最高峰だ!

2020年6月29日
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ここまで本格的なスパイ映画は邦画には他にない
007シリーズにもけっして負けない

陸軍中野学校シリーズ第3作
前作は参謀本部第二部に呼ばれ、中尉に昇進して新しい任務が与えらるところで終わったが、本作はその続きになる
赴任先は上海の特務機関
前2作は日本国内での防諜というスパイ狩りのお話であったが、本作では初めて海外での対外情報活動のお話

戦前の上海は東洋の魔都と呼ばれた国際都市
当然スパイが渦巻くところ

国際ホテルのバー、ホテルの秘密カジノ、ボンドガールならぬ椎名ガールも登場、色気たっぷりな敵側女スパイも登場する

007シリーズならQ が用意してくれるようなスパイ小道具も登場する
用意したのは陸軍登戸研究所
これも実在した秘密兵器の研究機関だ

スリルとサスペンスも十分に盛り上がる
物語も南京政府との秘密和平交渉にまつわる、日中融和を説く学者、支那派遣軍参謀、特務機関、中国共産軍、欧米のどこかのスパイと入り混じる

さらには秘密和平交渉のため参謀本部より派遣された将軍と副官が、日本の和平交渉を望まない日本側勢力により情報が故意に漏洩された為に中共軍の手に落ちてしまう
これを椎名ともう1名で、中共軍の拠点に潜入し救出作戦を決行するのだ

敵側スパイもなかなかのもので、日本の特務機関は案の定浸透されている

本格的エスピオナージュを日本映画で楽しめたのは初めてだ

ラストシーンは殉職した中野学校の仲間の墓を草薙中佐と椎名が訪れるシーンで終わる
墓碑には昭和15年12月とまで読める

草薙中佐の陸軍中野学校の目的は、本来アジアに平和を達成する為の情報機関設立であったはず
しかし、軍部自体が戦争へ傾斜を強めていく情勢に二人は暗澹たる思いで夕映えの空を見上げるのだ

この頃東京では、南進か?北進か?日本の戦争方針という国家最高秘密がゾルゲというスパイによって漏れつつあったのだ
ゾルゲは同盟国のドイツ人だが、その正体はソ連のスパイだったのだ
本作の敵スパイのボスもドイツ人の設定であったが、その正体はやはりソ連のスパイであったも知れないし、英米であったかも知れない
もしかするとそのまま同盟国ドイツの仕業であったかもしれない
それ程、国際諜報の世界は複雑怪奇なのだ
そんな事を考えるのもまた楽しい

次回作が楽しみだ!

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