陸軍中野学校 竜三号指令

劇場公開日:

解説

「陸軍中野学校 雲一号指令」の長谷川公之がシナリオを執筆、「兵隊やくざ大脱走」の田中徳三が監督した“陸軍中野学校”シリーズ第三作目。撮影は「眠狂四郎無頼剣」の牧浦地志。

1967年製作/88分/日本
原題:Assignment Dragon No.3
配給:大映
劇場公開日:1967年1月3日

ストーリー

昭和十五年秋。日中戦争を終結させるため重慶へ和平交渉に向った一行五人が、上海でテロにあい全員が死亡した。事件は竜三号と名づけられ、中野学校の椎名次郎が調査することになったが手掛りは一枚の銀貨と、モーゼルのライフルマークだけだった。しかし、和平を喜ばない外国諜報機関の妨害に間違いなかった。上海の軍当局に出頭した次郎は、特務機関の辻井少佐から、親日派の張宇源をマークしてくれと頼まれ、一方、銀貨の出所を調査するうちナイトクラブの賭博場が外国諜報機関の連絡所であることを突きとめた。ある日、別な事件を調査して上海にきた親友の杉本と会った次郎は、賭博場にいた外国人の一人が親日的な商社マンを装っているスパイ、スタイナーであることを知らされた。翌日次郎は、興亜放送に勤める渡血娘秋子と親しくなったが、偶然、張家のコック如康文がスパイで、情報を張のステッキに隠し、張が毎日ある番組に出ているのを利用して、興亜放送の宋アナウンサーに渡していることを知った。逮捕された宋は重要な機密を自供したが、その頃、第二の和平使節が重慶に向ったが、飛行機の故障で、中共領に不時着した。次郎と杉本は早速救出に向い、追跡する中共兵をふり切って彼らを救出したものの、杉本は地雷に触れ、壮烈な最期を遂げた。上海に戻った次郎は、和平を望んでいた張が暗殺されたことを知って、秋子を訪ねた。秋子は張の頼みでスタイナー商会に潜入し、取引電報のコピーを手に入れていたのだ。次郎が見ると、それは暗号だった。次郎は秋子の助けを得てスタイナーの金庫からコードブックを盗み出した。しかし、そこに現われたスタイナー、オストロフとの間で拳銃戦になった。スタイナーの手には、モーゼル拳銃が握られていた。次郎の奇略に二人は倒れたが、それは外国のスパイ網の前線基地の一つが、いま、次郎の手で潰滅した姿だった。総てはスタイナーが挑戦した罠だった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5これは凄い!日本のスパイ映画の最高峰だ!

2020年6月29日
Androidアプリから投稿

ここまで本格的なスパイ映画は邦画には他にない
007シリーズにもけっして負けない

陸軍中野学校シリーズ第3作
前作は参謀本部第二部に呼ばれ、中尉に昇進して新しい任務が与えらるところで終わったが、本作はその続きになる
赴任先は上海の特務機関
前2作は日本国内での防諜というスパイ狩りのお話であったが、本作では初めて海外での対外情報活動のお話

戦前の上海は東洋の魔都と呼ばれた国際都市
当然スパイが渦巻くところ

国際ホテルのバー、ホテルの秘密カジノ、ボンドガールならぬ椎名ガールも登場、色気たっぷりな敵側女スパイも登場する

007シリーズならQ が用意してくれるようなスパイ小道具も登場する
用意したのは陸軍登戸研究所
これも実在した秘密兵器の研究機関だ

スリルとサスペンスも十分に盛り上がる
物語も南京政府との秘密和平交渉にまつわる、日中融和を説く学者、支那派遣軍参謀、特務機関、中国共産軍、欧米のどこかのスパイと入り混じる

さらには秘密和平交渉のため参謀本部より派遣された将軍と副官が、日本の和平交渉を望まない日本側勢力により情報が故意に漏洩された為に中共軍の手に落ちてしまう
これを椎名ともう1名で、中共軍の拠点に潜入し救出作戦を決行するのだ

敵側スパイもなかなかのもので、日本の特務機関は案の定浸透されている

本格的エスピオナージュを日本映画で楽しめたのは初めてだ

ラストシーンは殉職した中野学校の仲間の墓を草薙中佐と椎名が訪れるシーンで終わる
墓碑には昭和15年12月とまで読める

草薙中佐の陸軍中野学校の目的は、本来アジアに平和を達成する為の情報機関設立であったはず
しかし、軍部自体が戦争へ傾斜を強めていく情勢に二人は暗澹たる思いで夕映えの空を見上げるのだ

この頃東京では、南進か?北進か?日本の戦争方針という国家最高秘密がゾルゲというスパイによって漏れつつあったのだ
ゾルゲは同盟国のドイツ人だが、その正体はソ連のスパイだったのだ
本作の敵スパイのボスもドイツ人の設定であったが、その正体はやはりソ連のスパイであったも知れないし、英米であったかも知れない
もしかするとそのまま同盟国ドイツの仕業であったかもしれない
それ程、国際諜報の世界は複雑怪奇なのだ
そんな事を考えるのもまた楽しい

次回作が楽しみだ!

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