劇場公開日 1979年8月25日

「想像の世界にしかいない「男家業」の男」蘇える金狼(1979) つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0想像の世界にしかいない「男家業」の男

2024年3月17日
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鑑賞方法:DVD/BD

松田優作が好きなのである。もうこの世にはいないけど、大好きなのである。じゃなきゃ観ないだろ?
なにせタイトルを入力するのも一手間かかる。「蘇る」なら一発なのに、「蘇える」だから出てこない。おかげでGoogle先生も「あなたが探しているのは松田優作主演の映画ですね?」と一発で「蘇える金狼」を探し当ててくる。
一周回って気が利いている。サイト検索なんて無かった時代なのに、このオリジナリティ。尋常じゃない。

この事からもわかる通り、普通に考えたら負けなのである。
脚本がメチャクチャ?おかげでアクションとお色気は入れ放題である。
当たり前のように拳銃が登場したかと思えば、当たり前のように女性は裸である。
白石和彌監督は「昔の映画にはいかがわしさがあった」とインタビューで述べていたが、「蘇える金狼」なんていかがわしさしかない。
銀行強盗、ヘロインの取引、やたら上半身ヌードの女性。
「安全なヘロイン」というパワーワードまで飛び出す、いかがわしさ全開の金狼ワールド。
だがそれが良い、のである。

残念ながら自分は女性なので、「男家業の大変さ」など知る由もない。「刺すような毒気」なんて要らない。
だから、「蘇える金狼」は完全に「男気ファンタジー」として楽しむものなのだ。朝倉はユニコーンやドラゴンみたいな存在なのだ。
あ、だからゴールデン・ウルフなの?
京子は「あんたみたいな男に惚れたら、女はたまったもんじゃないわ」みたいなこと言うけれど、そりゃ当然。
京子さん、貴女の彼氏オオカミですよ!

ファンタジー世界で好き放題暴れるハードボイルド・オオカミを演じられるのは松田優作だけだろう。ギラギラしたオーラをまとい、しなやかに駆け回る姿。
それでいて思わず「可愛い」と思ってしまうようなコミカルさ。
最終的になんだかよく分からないまま終わってしまっても、「あー、いかがわしかった!」と思えば良いのではないか。
とりあえず、松田優作がカッコいい事を再確認出来るしね。

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つとみ