劇場公開日 1979年8月25日

「ヒロインの力が不足していることが、本作のラストシーンの感動を不発にしたのだと思います」蘇える金狼(1979) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ヒロインの力が不足していることが、本作のラストシーンの感動を不発にしたのだと思います

2022年1月27日
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鑑賞方法:DVD/BD

処刑遊戯でシナリオがあまりにプアーだったのを反省したのか、村川透監督、主演松田優作コンビの次回作は日本のハードボイルド小説の巨匠大藪春彦の有名な原作を選択した
時代設定は公開当時の現代に変更した以外はほぼ原作どおり
カウンタックなどスーパーカーが何種類も登場するのが1979年らしさがでている良い演出です

終盤の主人公が刺されるシーンは原作にあるものですが、あの太陽に吠えろの松田優作の当たり役ジーパン刑事の伝説の名シーン「なんじゃこりゃ!」のオマージュになっているのが面白いところです

千葉真一と岸田森が二大見所
というか目立ち過ぎだったかも知れません
千葉真一と松田優作の新旧アクション二大スター直接対決を観客に期待させておいて結局実現させずに途中退場するのですからガッカリというか不完全燃焼になってしまうのです
かといって観客の望むことやると原作から逸脱してしまう
つまり大スターに釣り合わない役を配役してしまった弊害です
ここの配役の計算は難しいところ
正直、松田優作と千葉真一の配役を交換した方がしっくりしたかもしれません
とはいえ本作の目的は松田優作のダーティーヒーロー映画の決定版を撮ることなんですから、そんなこと出来るわけもありません

ヒロインの風吹ジュンは悪くはないのですが、殺人遊戯の中島ゆたかのを配役した方が良かったと思います
彼女はラストシーンのスカンジナビア航空のスチュワーデス役という端役の出演だったのはもったいかぎりです

ヒロインの力が不足していることが、本作のラストシーンを感動を不発にしたのだと思います

あき240