花と竜(1962)

劇場公開日:

解説

火野葦平原作“花と龍”を「どぶろくの辰(1962)」の井手雅人が脚色、「ひとりぼっちの二人だが」の舛田利雄が監督したアクションもの。撮影は「しろばんば」の山崎善弘。

1962年製作/109分/日本
原題:A Man With a Dragon Tattoo
配給:日活
劇場公開日:1962年12月26日

ストーリー

明治三十年代の大陸を相手に景気が出始めたころ、北九州の港湾には人間のあらゆる欲望がぎらぎらと沸き立っていた。そうした門司港へやって来た二十六歳の玉井金五郎。がっちりした体躯、精悍な眼差しは野望に燃えていた。早速とび込んだ博打場で、彼はたちまち着ている物まで剥ぎ取られる破目になったが、壷振りの女が「いつかあたしに彫らせてね」と囁いた。その時女の袖口から、牡丹に蝶の刺青が真白な腕にくっきりと浮き上っているのが見えた。浜尾組の仲仕となって働くようになった金五郎は次第に頭角を現わしていった。そのころ北九州一帯を襲った上海コレラにもびくともしない彼を、女仲士のマンはいつか想うようになっていた。人一倍勝気なマンが、いま旭日昇天の勢力を持つ吉田磯吉親分の客の望みをはねつけたことから、吉田の子分達に襲われた。すぐさま抗議に乗り込んだ金五郎は、素直に謝まる吉田の豪放な男らしさにひどく恥じ入り、その夜門司を出奔して若松に出た。金五郎とマンは永田組に落ちついたが、彼はここでもたちまち名を上げ、アル中の親方の代りに組の采配をふるうようになった。連合組の親方達と温泉へ慰安旅行に行った時、金五郎はあの蝶々牡丹の女お京と遇った。一週間ほどして帰って来た金五郎の肌には、菊花を抱いた竜の刺青が鮮やかに躍っていた。永田組と友田組は荷役仕事の縄張り争いにしのぎを削り、連日血を流さなければ収まらなかった。こうした中に永田は引退し、かわって金五郎の玉井組が誕生した。玉井組の勢力が次第に大きくなり金五郎の名が重々しい貫禄を加えていくにつれて、友田組や通称ドテラ婆さん、島村ギン達の厭がらせも烈しくなっていった。そして金五郎念願の仲士組合がやっと結成式にまでこぎつけた夜、ギンの子分角助から果し状が届いたのである。折から降りしきる雪の中に、身体をもって組合を守ろうと飛び出して行く金五郎だった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0やはりこの二人には現代劇こそ似合うし、日活の映画にはこの二人も醸し出している無国籍な垢抜けた世界が求められていると思います

2020年9月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

石原裕次郎と浅丘ルリ子のカップル
なのに現代の恋愛ものじやなくて、日露戦争の頃の北九州を舞台にしたいわば任侠物
まるで東映の作品みたいですが、当然日活です

東映任侠物は1963年3月公開の本編の人生劇場 飛車角が最初といわれています
ですので1962年の年末公開の本作の方が3ヵ月先行しています

石原裕次郎は流石に彫り物入れた任侠物でも際立っています
浅丘ルリ子は女房役として息もあっていいです
でもヤッパリ二人ともどこかバタ臭くて垢抜けています
そこが東映の任侠物と違うところ

東映は任侠物路線が大当たりして、どんどん新作を公開していきます

日活はどうかというと
裕次郎主演での任侠物を本作の後にも2本製作しますし、石原裕次郎と浅丘ルリ子の共演でももう1本公開しているのですが、やはりこの二人には現代劇こそ似合うし、日活の映画にはこの二人も醸し出している無国籍な垢抜けた世界が求められていると思います

良い映画ですが、やはり東映任侠物のほうが燃えるのは確かなのです

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