劇場公開日 1983年5月21日

「楽しめる要素満載の文芸大作!」細雪 よしたださんの映画レビュー(感想・評価)

3.0楽しめる要素満載の文芸大作!

2014年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

楽しい

知的

 没落期の大阪の商家の4姉妹を通して、移り行く時代の中でのそれぞれの女性の生き方を描く。映像がゴージャス。四女優がゴージャス。今の映画界ではこのような映画を作ることは不可能だろう。
 昭和の上流階級の家庭生活、家屋にかんする考証など、市川崑以降、スクリーンに表現できる人がいないのではないか。
 古手川祐子が末の娘を演じるのだが、ただ若いだけでなく、錚々たる役者たちの中でも、ひときわその美貌と熱演が目立つ。彼女の入浴シーンのサービスもあって、さぞ当時の男の観客を痺れさせたことだろう。
 谷崎潤一郎の原作の重厚さ、豪華な和装に身を固めた女優たちの競艶、美しい京都の風景、お色気サービス。これだけいろいろな要素で、様々な観客を満足させようとする意図が、映画として全く破たんの影を見せず、どっしりとした風格を湛えている。
 惜しむらくは音楽かな。当時の流行や実験的試みだったのかもしれないが、シンセサイザーの音が軽かった。やはりここはオケで音を作って欲しかった。

佐分 利信