化石の森(1973)

劇場公開日:

解説

現代の青春と、母と子の血の問題をとりあげながら、人間の心の中の神と獣性を追求する。原作は石原慎太郎の同名小説。脚本は「陽は沈み陽は昇る」の山田信夫、監督は「札幌オリンピック」の篠田正浩、撮影は「無宿人御子神の丈吉 黄昏に閃光が飛んだ」の岡崎宏三がそれぞれ担当。

1973年製作/118分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1973年9月1日

ストーリー

緋本治夫25歳。大都会のある大学病院で病理学を専攻しているインターンである。病院では、塩見菊江の一人息子、和彦の脳手術を、宮地教授が行おうとしていた。治夫は、この医学の権威を背負っているような尊大な宮地に対して憤りを覚えていた。ある日、治夫は高校で同級だった井沢英子と再会した。英子は都心の地下街にある高級理髪店でマニキュア・ガールをしている。治夫はその店のマスターが英子と関係があるのを感じ、英子をマスターから奪う決心をした。夜、二人は酒を飲み、英子のアパートで抱きあった。治夫は、英子の成熟しきった肉体に陶酔し、昂まりゆく行為の中で、眠っていた獣性が目覚めてきた……。一方、治夫の母・多津子は郊外のモテルで働いていた。彼女は長年にわたる放浪のすえ、長男である治夫との生活を願っていた。しかし、治夫は七年前、多津子の姦通の現場を見て以来、親子の縁は切ったつもりだった。マスターを殺したい程憎んでいる、と言う英子に治夫は「憎い奴は殺すまで憎め」と言い放つ。やがて、英子は治夫の言う通り、毒薬をマスターの瓜にしみ込ませ殺してしまった。二人は完全犯罪に酔った。だが、その陶酔が去った後、二人の間に亀裂ができはじめた。英子が女房気取りになり始めたのである。治夫は英子から逃れるように、子供のことから親しくなった菊江に接近していった。だが、嫉妬した菊江の夫・雄二は英子に、全てをバラしてしまった。治夫が自分から離れたことを知った英子は、多津子にマスター殺しを打ち明けた。さらに、警察にも知らせようとした。多津子は、そんな英子に優しくふるまいながら、英子を毒殺した。そして、多津子は治夫に、英子を殺したと告げた。なぜ? と問いかける治夫に、多津子は、これで自分も息子と同罪になれた、と答えるのだった……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

1.0かなりカルトな作品

2020年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 原作が悪いのか脚本が悪いのか、ツッコミどころがいっぱいありすぎて書ききれない。序盤の展開は良かったし、脳手術シーンも気合がこもっていたし、高級理髪店のマニキュア・ガールという設定も初めて知り、いい作品じゃないか!とも思えた。インターンである治夫が患者の母親にわざわざ会いに行くことも不自然だったがまた許容範囲。解剖学の授業で農薬の劇薬を知り、研究段階であったため、完全殺人に使えると考えたのだろう。

 理髪店の英子はマスターに借金をしていて、そのため性的な虐待までも受けていた。治夫と肉体関係を持つようになり、「殺したい」とつぶやいたおかげで治夫が積極的に劇薬を使い殺そうと持ちかけるのだった。

 殺人が成功したという中盤までは良かった。会話も謎めいていたし短絡的だったが、計画殺人の共犯者という負い目を背負い続ける内面の葛藤も想像できる。しかし、あっという間に治夫の母に告白する・・・なんで??原作は上下巻あるので、こうした心理面も描いていることだろうし、多分脚本がずさんなのだろう。

 また、患者の母親との信頼関係が愛情へと変化するシークエンスも適当。息子が聴力を失うことを心配して自宅を訪れる治夫→父親が登場してそそくさ帰る治夫→線路上を友達と歩いている和彦→助ける治夫→新聞に美談として記事が出される→深まる愛情、抱き合う二人。和彦は二人いるんか!!と思わせるような手抜きシークエンス。さらに視力も失いかけた和夫に新興宗教の祈祷で治そうとする親子。そこへ岸田森演ずる神父(?)登場。いきなり「あなたは医者ですね?」と言葉をかける。ホルマリンの臭いがしたものだから・・・え?ま、いいか。「本当は“病気”というのは治るか治らないかのどちらかだ!」何を言ってんの?「つまり死ぬか生きるかのどちらかだ!」・・・わかんねーよ、この会話。「詭弁だ!もし俺が人を殺してたらどうする?」「仮定の話はどうも」「じゃ、人を殺した。これでどうだ?」「詭弁ですね」・・・会話がシュールすぎる!

 まぁ、終盤はもっと凄い展開になり、「殺したのよ!」の告白大会に変貌するのです。そんなに自慢することか?!母親の異常愛と執念も見どころには違いないのですが、他の登場人物も同様、ちょっと狂った世界です。一つの殺人が周囲の人間をすべて狂わすといったテーマを打ち出せば面白かったのに、もうわけがわかりません。全体的に人を殺すことの重大さはこれっぽっちもない中、人間味を欠いた杉村春子の演技だけは良かった。ショーケンは興奮すると何言ってるかわかんないし・・・

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kossy

3.0恋人も母親も女

2020年5月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主人公(萩原健一)は大病院のインターン、男を作って家を出ていった母親(杉村春子)を憎んでいる。
理容店で出会った幼馴染の女(二宮さよ子)と恋仲になるが、彼女が店のマスターから暴行を受けていると知り、二人で殺すことに。
神の議論があるが、中途半端で、血の濃さのほうが面白かった。

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いやよセブン
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