「内容はハイビスカスの花でも、本当は紅の花のエピローグです 紅の花でシリーズが終了して良かったのです それを監督と私達はもう一度確認して納得するための映画なのです」男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0内容はハイビスカスの花でも、本当は紅の花のエピローグです 紅の花でシリーズが終了して良かったのです それを監督と私達はもう一度確認して納得するための映画なのです

2020年5月16日
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鑑賞方法:DVD/BD

実質的最終回の寅次郎紅の花から2年後の1997年公開です

劇中でも2年経過しているようです
満男は前作の終盤では泉ちゃんと結婚秒読みみたいなラブラブだったのに、すっかり元気なく気力を無くして投げやりです

ラストシーンで分かるのは、どうやら未だに両親と実家暮らしのようです
今でいう子供部屋おじさんですね
くるまやは三平と加代の店番で変わりないようです

寅さんも満男の独白でいまだにどこかをフーテンしているようだと分かります
リリーさんとはどうなっていることやら

男はつらいよシリーズ恒例の冒頭の夢が本作では復活しています
それは国府津から東京駅までの約1時間電車に揺られてみた夢です

それは寅さんとリリーさんの物語です

満男は寅さんの現代版です
会社勤めは、紅の花事件も専務さんの温情で会社も首にならず続いているようです
でもカバンを下げて日本各地に出張して営業するのは、台詞のように寅さんのテキ屋稼業と何の違いがあるのでしょう

結局、紅の花での満男の物語は、ハイビスカスの花での寅さんと同じです
女性の愛を受け止めれない勇気のない男の恋愛の顛末です

だから結局、ハイビスカスの花の寅さんと同じく、満男もまた泉ちゃんの愛を受け止めれられず、紅の花のラストのラブラブ状態から逃げ出してしまったようです
きっと自分から壊してしまったに違いありません

寅さんがまた現れたら、きっと紅の花の時みたいに力付けてくれのになあ
もしかしたら泉ちゃんとよりを戻すのを手伝ってくれたり、知恵をだしてくれるのになあ
いつまた寅さん帰って来るんだろう?
今度の旅はちょっとばかり長いなあ

劇中では寅さんは死んではいないのです
ひっこり柴又に帰ってくるはずなのです

私達の心の中にも寅さんは今も生きています
死んでなんかいないんです

どこかの居酒屋で隣合わせるかも知れません

忘れな草、相合い傘、相合い傘ハイビスカスの花、紅の花が寅さん本線です
紅の花でシリーズが終了して結局良かったのです
それを監督と私達はもう一度確認して納得するための映画なのです

主題歌が八代亜紀にバトンタッチされました
何故彼女なのでしょうか?
主人公なら吉岡秀隆が歌うべきです
八代亜紀はマドンナでもありません
でも目を閉じて聴いていると、自分にはリリーが歌っているかのように聞こえてくるんです
声質が似ています
彼女の独得の歌唱も控え目にしています
だからリリーさんのつもりで聴いて下さいという監督のメッセージだったのだと思います
本作にはリリーさんは回想シーンだけで再登場はしません
彼女を歌で思いだす方がよい
それも大歌手の名歌唱で
相合い傘での寅のアリアを思い出して、リリーさんのリサイタルでの歌唱と受け止めて
そういうことなのだと思います

あき240