劇場公開日 1985年8月3日

「君がため春の野に出でて若菜摘む」男はつらいよ 寅次郎恋愛塾 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5君がため春の野に出でて若菜摘む

2019年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 夢落ちとは言え、姥捨て山伝説の夢はシビアだった。今村昌平版『楢山節考』が公開されたのが1983年だったし、家族の中で役に立たないという人物がいるか・・・と展開を予想するが、今作では長崎にて行き倒れになりそうなクリスチャンのお婆さんを助けた縁で若菜(樋口可南子)と知り合う寅さんとポンシュウ(関敬六)。とらやでは、満男が中学校でフルート奏者になりたいと言うと、先生からはもっと足元を見ろと言われたという話題。個性的な人間とはその人本人が作り上げるものだと、ここでも博が達観した説を語る。

 東京で一人暮らしの若菜。印刷工場で写植を専門にしていたが、長崎に1週間ほど帰っただけで「誰も有給使ってないんだよ」と陰口を言われ、会社に居辛くなった。階下には司法試験を目指す平田満。朝日印刷は人が余っているので博が他の印刷屋を探し、無事就職。平田満が恋には無縁だったせいで、寅さんの恋愛指南が始まる。今までもあったことだが、今度のデートコースは完璧。見事予定通りにデートは進むが・・・

 「泊まっていっていいわよ」と言われたのに飲み過ぎたせいで眠ってしまった平田満。寅さんに相談すると、「終わりだな。俺だったら自殺するよ」などと言われ、秋田に戻り自殺しようとする。大学教授も巻き込んで皆で捜索。スキー場のリフトのやりとりがコメディっぽい上、前作とのパターンが同じだったり、BGMや効果音がそのコメディ色を出し過ぎているため、耳障りでもあったことが残念。

 関敬六が長崎の教会で銀の燭台を盗み、許してくれた神父さんの下で罪滅ぼしのために働いていたというラストエピソードが面白い(レ・ミゼラブル)。今作ではこのいい人神父さんと、いい人教授が脇を固めていた。また、あけみが「旦那と離婚して寅さんと結婚したい!」。結婚してみて初めて寅さんの魅力に気づくという何気ない言葉に一同シーン・・・。しかし、その場を寅さんが「タコをお父さんなんて呼べない」という言葉で切り返す上手さ。平田満に譲った潔さもそうだが、なんだか恋愛の神的存在になってきたなぁ。

kossy
kossyさんのコメント
2019年12月9日

masamiさん、どうもです。
多分masamiさんなら引っ掛かってくれるだろうと期待しておりました(汗)
さくらが若菜さんを説明するためにわざわざ引用するという博識ぶり。俺もこんな風にすら~っと百人一首が出てくるようになりたいです(無理です)

kossy
masamiさんのコメント
2019年12月9日

我が衣手に雪は降りつつ
すいません。どうしても下の句が
言いたくなりました。

masami