劇場公開日 1960年11月1日

「山田洋次が市川昆作品の中で最も尊敬する作品。腕にピンクのリボンを結ぶなどというオマージュもささげられている。」おとうと(1960) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0山田洋次が市川昆作品の中で最も尊敬する作品。腕にピンクのリボンを結ぶなどというオマージュもささげられている。

2019年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 互いに支え合う家族というより、姉が一人で絆を保っているような気がした。父親(森雅之)は碧郎の素行については無関心で、ピンポン、ビリヤードなどに興じることも「何かに打ち込むことはいいことだ」などと遠くで見ている雰囲気。だけど、退学になっても金を出して他の学校へ、骨折した馬の弁償金も払ったんだろうな。 クリスチャンの継母は嫌な性格だったけど、人付き合いが苦手にもかかわらず内には家族の幸せを願っていたことだろう。そんな個々の絆を窺うことができる。特に碧郎が入院してからはそれぞれの想いが一気に溢れ出す見事な演出だ。

 カンヌ映画祭にも出品されているのは、この宮川一夫の撮影のおかげだろう。“銀残し”という色褪せた中に際立たせる色がまぶたに焼き付くようだ。ストーリーも細かな編集にも不満を感じるけど、観てしばらくすると色彩だけが思い出されるのかもしれない。

 岸恵子も田中絹代もいい演技。森雅之の抑えた演技も申し分ない。一番気になったのは、看護婦の江波杏子!胸もでかいし、色っぽすぎる。こんな病院に入院したら若い男は色狂いで死んでしまうぞ。

kossy