劇場公開日 1963年11月16日

「 どこにでもいるサラリーマン。ある、ある、と頷いてしまうほどのエピ...」江分利満氏の優雅な生活 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 どこにでもいるサラリーマン。ある、ある、と頷いてしまうほどのエピ...

2018年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 どこにでもいるサラリーマン。ある、ある、と頷いてしまうほどのエピソードと、ちょっと変わった周囲の人々。映像的にも凝った部分があり、アニメ部分(トリスウィスキーのアニメ作家?)あり、靴と草履の会話あり、江分利の周りがストップしたりと、面白い。

 酒を飲むと徐々に変貌する男。くだを巻くところが特徴なのだが、本音が出てしまうのか、違う一面が出てしまうのかわからない。エブリーマンというタイトルのつけ方からして、平凡で普通のサラリーマンを描こうとしているのだろうけど、彼の父親(東野)の波乱万丈な人生からしても平凡ではない。何度も事業を起こして成功し、そして破産・・・を繰り返す。戦争成金と満氏からも揶揄されるし、その父を見て育ったからこそ平凡になろうと努力してたのかもしれない。

 戦中派サラリーマンの悲哀。破天荒な父親の姿を理解しなければ、この満氏の性格も掴みづらいかもしれない。どちらかというと後輩社員(特に二瓶正也)などが感情移入しやすかったりするのだ。優雅な生活というタイトルもそうだが、戦時中にどんな悲惨なことが起きているのかも大ざっぱにしかつかめていなかったようだ。徴兵制がなくなってしまえばいい!という台詞も強い反戦の意志より、父が戦争で儲けたために何もできなかったことの自責の念があると思われる。ただ、やはり岡本喜八監督の意志が混入されているとも受け止められる・・・

kossy