劇場公開日 2007年9月29日

「 いくつもの時間軸を交差させ、彼女の人生がそれほど苦悩と悲運にまみ...」エディット・ピアフ 愛の讃歌 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 いくつもの時間軸を交差させ、彼女の人生がそれほど苦悩と悲運にまみ...

2018年11月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 いくつもの時間軸を交差させ、彼女の人生がそれほど苦悩と悲運にまみれているような、そしてその記憶の断片が晩年の想いになっているように思われる。「歌がなくなったら死んでしまう」と印象に残る台詞を残すほど、彼女の人生は音楽そのもの。最期にプレゼントされた曲の「何も後悔しない」というフレーズが全てを物語っているかのように・・・

 母親が路上で歌を歌っていたように、エディットも路上で歌うようになる。きっかけを作ったのは大道芸人である父親。足芸を簡単に済ませたはいいが、客が去ってしまいそうなとき、幼いエディットに「何かやれ」と急かしたシーンだ。何かやれと言われても・・・頭のなかが真っ白になるけど、咄嗟に歌うフランス国歌。観客は天使の歌声に魅了されるのです。

 鼻の俳優ドパルデューが彼女の才能を見出す。その彼も殺人事件に巻き込まれ、エディットも容疑者として捕まったりするのです。この事件も衝撃的だったけど、ニューヨークで出会った最愛の男性マルセルのエピソードも涙を誘う。妻子ある男だし、報われることはないのかもしれないけど、エディットの愛が驚くほどに感じられるところ。

 映画ではスター街道を歩む華々しさよりも、悲しい別れがクローズアップされていた。娼館で可愛がってくれたティティーヌもそうだし、前記2人だってそうだ。ステージに立てないほど衰弱してしまった彼女に再会できて喜ぶのはもう一人の恩師レーモンだけ。悲しすぎです。

 劇中に登場する歌にはエディット・ピアフ本人の肉声を被せてあるらしいのですが、マリアン・コティアールの歌い方にはそれを感じさせない自然な演技。全くわかりませんでした。どこまで本人に似ているのかわからないけど、20歳から、実年齢よりも老けていた晩年の姿を演じきった彼女。素晴らしすぎです!アカデミー賞最有力候補などと謳ってありますが、主演女優賞ノミネートは確実なのかも。

kossy