劇場公開日 1995年3月4日

「頑張る人への応援映画?大人だからこそわかる価値。子どもだからこそハマる価値。」メリー・ポピンズ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0頑張る人への応援映画?大人だからこそわかる価値。子どもだからこそハマる価値。

2020年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

幸せ

萌える

ディズニー映画と侮るなかれ。最近のディズニーには食傷気味でしたが、こんな名作があったのですね。奥が深い。

隣の船長の設定が最初は突飛すぎて面喰いましたが、屋根の上のダンスに繋がるのね。なんて素敵な伏線。

子どものやりたいこと満載、毎日が刺激的。こんなナニーがいたらいいなあ。朝が来るのが待ち遠しい。

主人公のメリーに目がつい言ってしまうけど、大人になった私にはバートとお父さんが必見。
 その日暮らしの極楽バッタのようなバートが実は一番の大人。相手の立場を理解して行動できるって、なんてかっこいい!!! そんなバートが言う。「子どもはすぐに大きくなってしまう。時はあっと言う間に過ぎ去ってしまうよ。」
 日々のルーティンワーク、常識に縛られて時間がとられてしまい、大切なものが手を離れてから気がついて後悔しても遅い。大切なものは子どもとは限らないけど、本当にしたいこと・大切なことを忘れていない?って、ああ私何やっているんだろう。

お父さんの生真面目さが良い味出している。気難しいお父さん、でもバートに指摘された時の表情、切ないね。お父さんが「スパ…(言えない(>_<))」って言った時は乾杯しそうになっちゃった。

別の場面では、怒り狂う兄弟に「お父さんは一人で戦っているんだよ。君にはたくさん助けてくれる人がいるけど、お父さんにはいる?」と言うバート。

「スプーン一杯の砂糖があれば苦い薬も飲める」って、飲みたくないけど、嫌な仕事でも楽しみ(=スプーン一杯の砂糖)見つけてこなすようにすれば、ちょっとは人生変わるかな。見つからなければこの歌や「スパ…(言えない(T.T))」歌えば良いものね。

ああ『メリーポピンズ』って、頑張る人の応援映画だったの?

バートと銀行頭取が一人二役なのも意味深…。

そんな箇所ばかりを抜き出すと説教映画のように見えますが、全編歌と踊り。常識を覆されるようなアイディアばかり。子役のドリー嬢の表情もいい。

群舞を始めとする踊りもすごい。一緒に踊りだしたくなっちゃう。(屋根のダンスで、途中メリーが化粧直しをするのも笑った)

アニメもセルを惜しまずたっぷり使っているから(CGじゃなくすべて手描き!!)、動きの小気味の良いこと。本来のディズニーの真骨頂の作品です。(初期のアニメ『百蛇伝』の頃は東映もこの位動きが滑らかで、リズムテンポも良かった)

ディズニーランドのような能天気に楽しい・馬鹿騒ぎ・ハッピー、だけの映画ではありません。メリーは実は躾に厳しくちょっぴり辛口立だったりする。そこがまたスパイスが効いていて良いですね。

50年前にどうやってこの映像撮ったんだろう?楽しみです。

”お父さん”のような人にこそ観てもらいたい映画です。

とみいじょん