劇場公開日 1996年3月9日

「文字にする事で見えてくるもの」(ハル) セロファンさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0文字にする事で見えてくるもの

2021年10月17日
PCから投稿

『ユー・ガット・メール』よりも前に日本でこのような映画が作られていたとは知りませんでした。

ネット上の交流を通し、顔も名前も知らなかった誰かが次第にかけがえのない存在となっていく様子が丁寧に描かれていて惹き込まれました。
ネット上のやりとりだからこそ、適当な作り話を書く事もあれば、誰にも打ち明けられなかった本音を綴る事も出来て、その時その時の文面に繊細な感情が表れていて胸を締め付けられました。
また、マイペースで前向きな(ハル)と、慎重で繊細な(ほし)、あけすけで直感で動く(ローズ)、それぞれの性格が表れた文面を読むのも楽しかったです。
辛い思い出も何もかも長い間一人で抱えてきた主人公が、おそらく初めて自分の気持ちを文字にして誰かに伝える事で、ゆっくりと丁寧に自身の過去を整理し、前に進んで行こうとする姿に感動しました。

セロファン