善き人のためのソナタのレビュー・感想・評価
全64件中、21~40件目を表示
最後の言葉が深く余韻を残す
東ドイツ、シュタージにまつわる話。主人公役をしたゲルト・ヴィースラーさんは映画さながらの経験をしたとのこと。
自由に物が話せない社会は怖いです。
人間の崇高さを感じることができる作品。
最後の言葉は深く心に残ります。
善き人であることは抗えない
感銘を受けた。ライフタイムベスト映画のひとつになりそうなくらい。思いがけず。ゲルハルトリヒター→ある画家の数奇な運命→善き人のためのソナタ、と同じ監督作品、ドナースマルク監督作品しかもデビュー作?卒業制作?本当かわからないですがそうだとしたら奇跡的なすごい作品でとにかくこの流れで偶然にも見ることができて感謝しかない。
シュタージに支配される重苦しい東ドイツ、おそらく当時の様子がしっかり描写されているのだろう。シュタージのえげつなさ、厳しさと、意外にも無防備なところがある市民。
芸術を愛し人を恋人を仲間を愛し美しいものを愛する人たちを監視するなか、とくにピアノソナタを盗聴器越しに聞いたときの電撃。少しずつ、生きる喜び愛する喜び人間的な感情に触れ震え満たされていくウィスラー大尉。
互いを信じたり疑ったリヒター慰めたりしながら、創作に、変化を起こすことに励むドライマンたち。
保身のため恋人を裏切るクリスタを自らの職業立場を忘れて今のあなたはあなたではないと励ますウィスラー大尉。
最後の本屋のシーンまでじわじわと、誰もが当たり前に持って要るはずの感情を少しずつ動かされて、今は落ちぶれた人生となったウィスラー大尉の、無駄ではなかった彼の人生、組織体制への裏切り人間性つまり芸術への回帰。
全ての人が善き人のためのソナタを聞くことが出会うことができますように。
そしてこのような美しい映画に出会えたことに感謝。
冷戦下の旧東ドイツ。国家のため盗聴を行うことを任務とする男性。 舞...
冷戦下の旧東ドイツ。国家のため盗聴を行うことを任務とする男性。
舞台女優とその恋人劇作家を盗聴していく中で、主人公に気持ちの変化が生まれていく。無表情の中に表れる感情と表情の表現がすごく良かった。
ラストがとても素敵すぎました。心が救われるような表情。とても良かった。
内容自体は重いですが、素晴らしい秀作でした。
一言「これは、渋い胸熱!」
1984年東ドイツ。国民は国家保安省の管理下に置かれていて。
要注意人物は監視・盗聴されるのが当たり前、ええ!。
話の3/4弱は、劇作家&恋人を、主人公が盗聴して追い込んでいきつつ。
段々対象者寄りに変わっていく様=社会主義から目覚めていくのが。
そうだよねえ、人間だもの。まあ普通ありそうな話。
ところが残り1/4。ベルリンの壁崩壊後。
情報も公開され、劇作家が自分の盗聴記録を知るシーン。
誰が自分を守ってくれたのか、ある「証拠」で気づくあたり。
おお、そこでそれ!って涙ホロリ&ラストも憎い演出。
盗聴にまつわるシーンが若干長いけど、良作でした。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「今のあなたは、あなたじゃない」
人間らしさ
「美のない人生なんて味気ないわ」
最近みた『ローズメイカー』のセリフがリフレインするような映画だった。
国家秩序を守るため、と仕事に励む主人公の気持ちもどこか分かるような気がするし、
現代日本で育った僕にはどうやっても馴染めないような気もするし。
だんだんと人間らしい感情を取り戻していくような、
ふと美しいものに触れて、生きていることを思い出すような。
ストーリーラインとして特別なものはないかもしれないけど
そのぶん力強さを感じるような作品だったと思う。
組織の責任者は常に腐れ外道で有る法則に例外は無い‼️
東ドイツの秘密警察の中佐はとてもおぞましい存在でした。
下部の人間は疲弊し、貶められます。
共産圏に限らず、日本の政府、自治体も含めて、例外は有りません。
肝に銘じるべきです。
組織の責任者は常に腐れるもので、あることを。
ドイツの壁は崩壊しましたが、世界中の組織の責任者は腐敗を続けます。
コロナ禍で、さらに加速することを目の当たりにするでしょう。
よくぞこのタイトルを付けて下さった
これが映画としても文学であっても素晴らしいタイトルです。「この曲を本気で聴いた人は悪人にはなれない」――それほどの音楽を聴いたことがあるだろうか。それほど、音楽を本気で聞いたことがあるだろうか――。最後の本屋の店員さんとの遣り取り、「これは贈り物ですか」「いいえ、私のための本です」――シリアスジョークとして上手すぎます。ズシッと心に刺さりました。
その他、監視社会の問題としても心に重く響きます。たかが、自殺者に関する文書を書いただけで、家宅捜索したり尋問したりする情報統制の下らなさ。こういう下らないシステムはますます力を増して永続するでしょう。今度はネットやスマホを利用して、AIが情報をまとめ上げて報告する。この映画のように、観察者が手心を加えてくれるような、そんな善意は起こりえないと思います。任務を命じられたAI、もとい、任務しか知らないAIは、善意や悪意、人権蹂躙の問題など、理解しようが無いでしょうから。
政治批判などしても仕方が無いですね。これを機に、「1984」を関連作品として読書を挑戦して映画も観てみようと思います。
1984年の東ドイツの話で国家保安局シュタージの局員ヴィースラー(...
1984年の東ドイツの話で国家保安局シュタージの局員ヴィースラー(ハゲ)が、反体制の劇作家ドライマンとその同棲相手の女優クリスタを完全監視する話。壁中に張り巡らせたマイクで部屋中の隅々まで音を拾い、その行動を記録。交替する仲間もいて24時間監視し続ける。何時何分にエッチしたとかまで事細かく書かれていて、終盤の方でドライマンがその自分自身の記録を読むのだが、なんとも冷静。自分だったら発狂するわ。
秘密警察のマシーンだった男が劇作家の人生を知ることによって、監視マシーンじゃなくなってしまう所がキモでヴィースラーがちょっとだけドライマンを助けたりもする。すぐバレるけど。
ドライマンが自分の行動記録が改竄されている事に気がついて、それをキッカケに本を書く。
命令よりも自分の良心に従ってしまったハゲは左遷でどうでもいいような雑用の部署に送られ、冴えない日々。
ドライマンの本を手にとるヴィースラー。
感謝をこめてHGW XX7(ハゲのこと)に捧ぐ
時を経て届いた心の返信。
「いや私のための本だ」
凄くスッキリした顔で再び自分を見つけたようなエンディング。泣けた。
人の歩むべき道を優しく教えてくれるドイツ映画
旧東ドイツの秘密警察の盗聴、諜報、尋問などの国家ぐるみの闇の実態が興味深い。それが単なる告発ものの暴露映画ではなく、国家保安省(シュタージ)の男が盗聴で任務する過程で徐々に自由思想と芸術に影響を受け、社会主義体制の国家に反する裏切り行為を行い、ひとりの反体制思想の劇作家を救う人道主義になっているのがユニーク且つロマンチックである。劇作家の愛人が薬物中毒の意思の弱さから密告をしてしまい贖罪に苛まれるサブストーリーと調和して、人間の救済に対する作者の信念を感じることが出来る。ラストの真実を知った劇作家が、恩人の元保安省の男に面会せず、小説の序文で謝意を添えるカットの、映画ならではのフィナーレに感動して胸が熱くなる。時代や社会に惑わされない、人の歩むべき道を教えてくれる、美しく心優しい映画でした。
謝意の劇中本が原作?
映画のキャッチコピーに「この曲を本気で聴いた者は悪人になれない」とありますがゲルト大尉が劇作家のドレイマンを助けたのは彼の恋人クリスタに横恋慕するヘムプフ大臣の好色な陰謀、上司や仲間の下劣さに嫌気がさしたからでしょう。
確かに本作の録音技術は秀逸で音楽シーンの音色の生々しさは格別ですが曲の演奏も短く曲が主題を担っているとは思えませんでした。かといって表現の自由と闘った演劇人のレジスタンス物語でもありませんね、政治弾圧に名を借りた下劣な品性の権力者の悪行は普遍的に存在するとみた方が良いかもしれません。
ドナースマルク監督33歳、西独出身なので東独の内情は壁の崩壊後に4年も調べてオリジナル脚本を仕上げたようです、映画にも出てきましたが当時の政府資料が閲覧できるとは驚きました。役者の名演にも助けられたのでしょうが初の長編デビュー作とは思えぬ重厚さ、才能が光っています。
ことの真相を知ったドレイマンがゲルト大尉に逢って礼を言おうとしますが思いとどまります、2年後に本の形で謝意を表しますが痺れます。メール配達人に落ちぶれた彼をおもんばかったのかもしれませんし、月並みな礼では済まないと悟ったのでしょうか、その本が巡り巡って映画の原作めいて、主題の巡るソナタ形式にも思えました・・。いつもながらドイツ映画は渋いですね。
映画が描いたことが実に発生している
東ドイツはかつての国だが、今のある強い国とそっくりだ。かつてすでに発生したことが、今、この国で発生している。
映画そのものは圧巻だ。だが、本当の歴史とすこし違う。東ドイツ時代、反体制派を協力した情報員は、一人もいなっかた。
まさか、人間が歴史から学んだことは、歴史から何も学べないことだ。
東独それは抑圧と美学
シュタージ、血も涙もない連中なのにソナタによって主人公の心の変遷が丁寧に描かれている。ドイツ映画って凄い。アメリカ人にはこんなの到底創れないよ。
抑圧は、自由と美への渇望なんだなとしみじみと思い知らされる映画。東欧社会主義崩壊の原因をこの映画で体現している気がした。オスタルギーに浸りたい人にもおすすめの一作。
東独のシュタージュ職員を主役に、監視社会の裏面を描く秀作。 後半、...
東独のシュタージュ職員を主役に、監視社会の裏面を描く秀作。
後半、主人公が人間性に目覚めていくプロセスが良い。
緊張感が続く3h。
良かった・・・
少しドイツに興味を持つことがちょくちょくあったが、
この映画を見て確定的に。
主演の人がハマり役すぎて驚いた。
本当に東ドイツにいて、奥さんに盗聴されていた過去があったようで?
それの過去を一切感じさせない冷酷な眼差しが素晴らしい。
涙が溢れた
最後のセリフに張り詰めた緊張感が解き放たれて涙が溢れた。
善、悪と割り切れない人間の葛藤や弱さ、脆さとともに素晴らしさ、みたいなものも描かれていて。
ともかく主人公の顔がいい!
全体的に淡々としてるので、眠くなるというのもわかるけども。
ラストが良い
鉛筆が恋しくなる映画。
2023.4.30追記
U-NEXTで鑑賞
ラスト、グルビッツ中佐と乗り合わせたクルマ、ドライマンに行った時のクルマと違うことに気づいた。同じ時間帯での話だったと思ったのだが。
ラストはいつ見てもグッとくる。
全64件中、21~40件目を表示