恋ごころ : 新作映画評論

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恋ごころ

恋ごころ

2月9日より、シャンテ・シネにてロードショー

フィルムから魔法のオーラが発光しているとしか思えない

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夏のパリを舞台に6人の男女(年相応の過去もあれば、分別もあるけど、それを捨て去る衝動なんかもあるような「普通」の大人たち)の恋物語。ただ、恋といっても濃厚なラブシーンもないし、妙な変態クンも出てこない。女優の裸だって、まあ、どってことない。登場人物たちは、終始、部屋のドアをバタン、バタンと開け閉めしながら、笑っちゃうくらい、せわしなく出入りするうちに、いつしか関係は縺れあい、状況は錯綜し、しかし、上映時間の2時間35分、話はサラサラと流れていく。

ただそれだけの映画なのに、これが滅法面白い。不思議なことに、見ているうちに気分がどんどん明るくなる。フィルムから魔法のオーラが発光しているとしか思えないのだ。

それは、映画の中の人間たちが本当に「自由」だからだ。実は映画から「自由」を感じることはとても難しい。映画には、現実以上に、紋切型のメッセージ(誰かの説教ですよ)や物語(誰かのトラウマでしょ)が満ちているからだ。しかし、「恋ごころ」には、恋の思惑が生み出す生身の人間の「感情」だけが、自由自在に息づいている。人の気持ちだけが、勝手に行き来し、揺れ動き、ぶつかり合っている。生き生きと呼吸している人間を見ることは、それだけで十分面白いのだ。

(日下部行洋)

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