青春残酷物語
解説
女子高生の真琴と陽子。街へ遊びに繰り出した帰りはいつも車を持つ男たちを誘い、家まで送らせていた。しかし、ある日、真琴は外車に乗る中年男にホテルへ連れ込まれそうになる。そこへ大学生の清が現われ、中年男を殴り倒し真琴を助けるが、二人の出会いはやがて破滅へと導かれる……。激しいラブシーン、即物的な描写などの衝撃が、松竹ヌーヴェル・ヴァーグという言葉を生み、興行的にも大ヒットした大島渚監督の長編第2作。
1960年製作/96分/日本
オフィシャルサイト女子高生の真琴と陽子。街へ遊びに繰り出した帰りはいつも車を持つ男たちを誘い、家まで送らせていた。しかし、ある日、真琴は外車に乗る中年男にホテルへ連れ込まれそうになる。そこへ大学生の清が現われ、中年男を殴り倒し真琴を助けるが、二人の出会いはやがて破滅へと導かれる……。激しいラブシーン、即物的な描写などの衝撃が、松竹ヌーヴェル・ヴァーグという言葉を生み、興行的にも大ヒットした大島渚監督の長編第2作。
1960年製作/96分/日本
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2014年11月30日☆☆☆★★★
簡単な感想で。
冒頭で、山茶花究のエロおやじを殴りつける川津祐介。
この時に、壁を背にしてクルッと1回転する演出の面白さ。
画面は直ぐに当時の渋谷?の街並みを練り歩く安保反対のデモ隊達。
そして木場の材木運河で繰り広げられる、川津祐介と桑野みゆきの有名な場面へ。
この時のギラギラとギラつく川津と。責められながらも、不思議と恍惚の表情にも見える(当時の清純派女優なのに)桑野みゆきの魅力の爆発。これがもう観ていて堪らない。
映画は、この2人の世代の若者を通し。やりたい放題やっては社会に反抗する世代と対象的に、渡辺文雄と久我美子の《闘いに敗れた》世代の「我々は負けてしまったんだ!」…と言う。どうにもならない状況に陥ってしまった、自らを諌めるかの様な憤りを並行して描いていた。
互いに抗いあっている社会への不満。
この作品が公開された1960年と言えば、「もはや戦後ではない!」…の時代。
思えば、渡辺・久我の2人の世代が《全学連》から《安保闘争》へと至る学生運動初期の世代にあたるのだろうか?
そして、川津・桑野はその次の《全共闘》から【東大安田講堂占拠】【浅間山荘事件】【連合赤軍】へと至る《総括》世代…と言って良いのだろうか?
もしもそうだとしたのならば。この作品の時期にまだ全共闘は生まれてはいないと思われるだけに、その後の社会の動きを先取りした先見の明に満ちていた…とは言えないだろうか。
ある意味で、大島の世代では成し遂げる事が叶わなかった。その喪失感には絶望しかなかった《モノ》
それが川津・桑野の世代にはどうなるのか?それを見届けたいとの想いが込められていたのかも知れない。
そんな思いを感じさせる監督大島渚は、そのフィルムグラフィーを見ると。デビュー作からこの作品までは自ら脚本を書いていて、おそらく渡辺・久我の世代にあたるのだろう。
そしてこの後からは石堂淑朗との共同脚本に変わって行くだけに、転機になった作品だったのだろうと想像出来る。
最初に記した材木運河の場面を始めとして、桑野の顔を画面の右端で半分に切り取る等、印象に残るショットも多く。この作品から【松竹ヌーベルバーグ】とゆう言葉が発生した…と言われているのも頷ける思いを味わった。
2022年 2月9日 シネマブルースタジオ
正直、学生運動や社会問題テーマ云々は全く理解できなかった。
でもストーリーや画は良かった。
最後に二人で街を歩くシーンは美しかった。
この時代は女子高生と言わずに女高生と言ったんだろうなぁ。“男の学生”と言っていたから大学生なんだろうけど、女好きの大学生なんてのは今と変わらないんだなぁ。60年安保の時代だし、全学連に無関心だった学生はこんなものだったのだろう。
同棲を始めた二人は金を稼ぐために美人局を計画する。成功した後でバイクに乗ったまま海に突っ込むが、バイクがお釈迦になるだろうに、せっかく稼いだ金が・・・。妊娠、中絶、中年男との一夜、姉と医者、リンゴをかじる・・・絶妙な演出に唸るばかりだ。
医者(渡辺文雄)の独白調の台詞が良かった(しかも襖で仕切られた向こうで)。警察で藤井とすれ違いざまに言う台詞が秀逸だと感じた。俺達の青春の敗北が・・・
今年、
「戦場のメリークリスマス」を再鑑賞した時、
欧米文化の精神的優位性を謳いながらも、
特に上映妨害を受けたとは聞いていない
この作品の大島渚監督が存命だったら、
永久に不可能と思われる
日本版「南京事件」を否定論者に抗して
製作出来たのではなかったろうか、
との思いに至っていた。
そんな関連もあり、
ほとんど未鑑賞だった彼の若い頃の作品を
観ようと思っていたところ、
たまたま近くの図書館にDVDがあったので
この作品を初鑑賞した。
この物語では、金、金、金、なんでも金、
ある意味お金が動力源が如く、
全ての登場人物は行動する。
大島渚は、多分にこの風潮は、
当時の国民意識から逸脱した60年安保条約や
その後の所得倍増政策と無縁ではないと
語っているのだと思った。
登場人物は社会正義や社会秩序に
抗うかのように、また、若さの発露の如く、
お金を原動力にして
無軌道だったり本能の導くままに行動する。
この作品の登場人物の台詞を借りると
「青春を燃やさな過ぎた」
人種の私としては、
己の青春に対する若干の後悔と共に、
しかし、なかなか理解の及ばない青春群像
を見せつけられた気分だった。
しかし、その発露の道具として
この作品で扱われた“金”については、
私が社会人になった頃に比較して
中間所得層が激減して
格差社会化している現状の中で、
社会への抗いの象徴として
再び若者達が無軌道・無法的行動に
走り出さないかとの心配心も浮かんだ。
「戦メリ」以前の大島作品としては
「少年」「儀式」位しか観た記憶がないので、
この先、もう少し大島渚の世界を浸りたい
と思っているが、
結果、どんな彼の総評に繋がっていくか
楽しみになってきている。
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