劇場公開日 2005年10月1日

「長い話を省略しすぎて描ききれていないのでは」蝉しぐれ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0長い話を省略しすぎて描ききれていないのでは

2014年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

難しい

総合60点 ( ストーリー:60点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )

 静かに美しくそして物悲しく時が流れ、封建社会の厳しい身分制度の中で儚い愛が綴られる、情景豊かな作品である。そのような雰囲気には魅了される部分もある。日本の昔の風景美も良い。

 しかし残念ながら物語があまりに飛び飛びになっており、場面がいきなり切り替わる。そのときには時間もかなり経過しているし、このようなことがあったと劇中で科白で説明するだけで済まされたりする。結果として場面場面のことも説明不足で、人物のことも描ききれていないから、二人の愛の深さに対して観ているこちらの感情移入も控えめとなる。お家騒動の物語に対しても、何が起きていてどのような人物が関わっているのか理解が浅くなる。

 原作は未読だが、おそらくは原作の長い話を無理やり映画の時間枠の中に詰め込もうとして失敗しているのでは。せめて前後編にわけて二本制作するくらいの余裕がなければ、この物語を描くことは出来なかったのではないだろうか。

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Cape God