地獄の英雄

劇場公開日:

解説

 ビリー・ワイルダーが長年の脚本パートナーであったチャールズ・ブラケットと離れ、新たな脚本家を迎えた作品。ニューヨークの新聞社から閉め出されたジャックは、洞窟内で生き埋めになっている男を目撃する。是が非でも一流紙に戻りたい彼は、スクープを利用し情報操作に手を染める。おのれの野心のためなら手段を選ばない新聞記者が、世論に裁かれる姿は見応え十分。世間の評価が芳しくなかったため、スタジオ側が「Ace in the Hall」から「The Big Carnival」にタイトルを変更したという逸話も。

1951年製作/111分/アメリカ
原題または英題:The Big Carnival(Ace in the Hall)
劇場公開日:1952年9月16日

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映画レビュー

5.0映画終活シリーズ

2024年10月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

1952年度作品 50年代前半、ワイルダーあぶら乗り切ってるな 「サンセット大通り」「地獄の英雄」… 最高の監督で最高の脚本家やで

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あきちゃん

3.5これはかなり 心に残る作品だ

2024年7月17日
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タンバラライ

4.0谷間の傑作

2024年4月24日
PCから投稿

サンセットと17捕虜に挟まれて知名度低いですがダグラス先輩主演の佳作です。 ジャーナリズムの独善性と大衆の残忍性がテーマですが、設定と展開を極端にデフォルメしてシリアスでアンモラルな内容を逆説的にマイルド化しています。 (参考) ジャーナリズムと大衆を批判した内容は批評家と観客双方からそっぽを向かれて先生とパラマウントの関係は険悪になりましたが図らずもオスカーの脚色賞の候補となって関係は何とか修復、次作第十七捕虜収容所の成功につながります。

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越後屋

4.0チェック・ダブルチェック

2023年7月26日
iPhoneアプリから投稿

原田眞人『クライマーズ・ハイ』でかなりダイレクトに言及されていたので鑑賞。カーク・ダグラス演じる傲慢な新聞記者テータムとそれに群がる人々が洞窟に生き埋めにされた男レオの命を自己顕示欲によって消費し尽くすまでの過程が克明かつ執拗に描かれる。 テータムもさることながら、彼がばら撒くセンセーショナリズムに飛びつく群衆のリアルなグロさが印象的だ。インタビュアーに向かって「私が一番最初にここへ来た」と答える保険屋の家族、レオのために軽やかなポップソングを歌い上げるギター弾き、回る観覧車、男の死を知るや否や座椅子を降りて白々しく膝をつく貴婦人。 はじめこそ誰よりもレオをエンタメ消費していたテータムだったが、あまりにも冷酷で自己中心的なレオの妻や保安官を目の当たりにしているうちに良心の呵責に耐えられなくなってくる。終盤の彼の自傷行為のような一連の行動はひたすらに痛々しい。加えて生来の性格の悪さゆえ、その痛々しさが偽らざるヒューマニズムであると理解してくれる者は既にどこにもいない。 彼は田舎の地方新聞社に戻ると、編集長に向かって「時給1000ドルの新聞記者を好きに使え」と嘯き、その場で絶命する。一方でレオの妻や悪徳保安官や大手新聞の記者たち、そしてそれらの邪悪に気がつくことなく目の前の情報を消費し続ける無数の大衆。そうしたものが今なおアメリカじゅうで跳梁跋扈しているという絶望。『深夜の告白』や『サンセット大通り』にも匹敵する暗澹たるビリー・ワイルダー映画だった。

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因果