劇場公開日 2002年1月19日

「【”あの時、往診に行かなければ・・”愛する息子を亡くした精神科医の苦悩と後悔。そして、愛する家族と共に緩やかに再生して行く姿を温かいタッチで描いた作品。】」息子の部屋 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”あの時、往診に行かなければ・・”愛する息子を亡くした精神科医の苦悩と後悔。そして、愛する家族と共に緩やかに再生して行く姿を温かいタッチで描いた作品。】

2022年3月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 序盤の、精神科医ジョバンニ(ナンニ・モレッティ:監督&脚本も担当)が、様々な患者と交わす会話のシーンが良く分からなかったが、途中で”これは、この後彼が精神科医に掛かる程の哀しみを経験する事を、暗喩しているのでは・・”と思いながら、観賞。-

◆感想 <Caution! 内容に触れています。>

 ・物語は、哀しいがシンプルである。

 ・精神科医ジョバンニと妻、パオラ、娘イレーネ、息子アンドレアは穏やかな生活を送っている。
 ー アンドレアが学校のアンモナイトの化石を盗んで、一週間の停学になったりするが、皆、彼の無実を信じている。
   だが、アンドレアは数日後、”先生の困った顔が見たかった”と盗んだ事を認める。-

 ・精神科医ジョバンニの診察は続く。自殺願望のある男。生きる意味を失っている男・・。
 そして、日曜日に自殺願望のある男から”直ぐに家に来て欲しい”と電話が入り、ジョバンニは車で出かける。
 そして、彼のいない時に、悲劇は起きる。アンドレアがダイビング中に洞くつで酸欠死したのだ。
 - 自分を激しく攻めるジョバンニ。妻、パオラ、娘イレーネも悲しみの底に叩き落とされる。-

 ・家族関係がギクシャクし始めた頃、アンドレア宛の、アリアンナという女の子からの手紙を見つけ、家族でその女の子に一度は断られながらも会いに行くジョバンニと妻、パオラ、娘イレーネ・・。

<後半や、ラストシーンで流れる、”ブライアン・イーノ”の名曲”By This River"の優しき音色が、優しきアリアンナや彼女の新たなボーイフレンドの姿と重なり、ジョバンニ一家は徐々に癒され、再生していく姿を彩っている。
 それまで、他人の悩みを聞き癒して来た男が、息子を失った事により激しく落胆し、自らを責める中で、亡き息子の一時だけのガールフレンドたちに癒されていく姿。
 ”良い子たちだな・・””そうね・・”
 派手さは無いが、静かに心に沁みてくる作品であると思う。>

NOBU