劇場公開日 2001年11月3日

「映画館リバイバル上映」メメント 稲浦悠馬 いなうらゆうまさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画館リバイバル上映

2024年4月28日
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鑑賞方法:映画館

「メメント」 2024年 映画館リバイバル上映の感想文

「オッペンハイマー」「フォロウィング」に続いてクリストファー・ノーラン作品を観た。全て映画館で。これで3作目だ。

「フォロウィング」も「メメント」も最近、映画館でリバイバル上映されていたのだ。

メメントは自分でも名前を聞いたことがあるぐらいの有名作だったので是非映画館で観てみたかったので、映画館のラインナップに並んでくれたのはちょうど良かった。

改めて、この有名作の感想を言うのは相当に蛇足な気はする。もう世の中に大量の感想と考察、賞賛の記事が存在するだろう。

だがそれでも書くと、この映画の手法は他とは一味違う。他の映画は過去から未来へと時間が進み、そして最後に結末が明らかになる。だが本作はその逆で、まず一番未来の結末が提示され、そこから1段階ごとに過去のシーンが映し出され、最後に最も過去に辿り着き、そこで真実が明らかになるのだ。

主人公は記憶障害を負っており、なんと記憶が10分程度しかもたない。なのに殺された妻の復讐を果たそうとする男だ。

どう考えても犯人を突き止めるのは無理ゲーだと思うのだが、記憶が飛んだ後の自分にメモを残したり、中でも重要な情報は体にタトゥーとして刻みつけたりして、犯人に迫らんとする。

そして物語にはいかにも怪しげな男や、協力者の女や、薬の密売人などが登場して観客を惑わせる。

観客に本当に記憶障害を疑似体験させることは難しいかもしれないが、観客も主人公と同じく過去への記憶がブロックされているという点で、映画の仕掛け的にも「記憶障害」的な感覚を実現しているのだ。

惜しくもこの日、本当に眠かった自分は、こともあろうか大事な最初の30分ほどをうとうとして過ごしてしまった。時系列の未来にあたる大事な部分だったのに。

途中からはちゃんと目覚めて見始めだが、シーンごとに時間が逆に進んでいるということに気づいたのは、しばらくしてからだった。クリストファー・ノーラン節的には時間を未来過去に前後させているという先入観があったせいもある。

で観終えた感想はというと、オッペンハイマーやフォロウィングでクリストファー・ノーランの手法を知っていたせいかものすごく大きな驚きはなかったが、それでも初めて見る手法の映画なので楽しませてくれた。

稲浦悠馬 いなうらゆうま