劇場公開日 2004年2月21日

「消え行く祖国にさよならを」グッバイ、レーニン! Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0消え行く祖国にさよならを

2014年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

楽しい

総合60点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )

 今までの社会が崩壊して価値観が全く変わってしまった混乱の中で、母親のために努力をする息子を軽快に描く。

 ずっと西側世界に生きていると、さっさと古い体制は葬り去って姉のように切り替えちゃえばいいのにとしか思わないのだが、実際にこのようなことに直面するとそう簡単にもいかないのだろう。信じていたものが消え去って今までの自分の価値観が否定された中で、果たして祖国に対してどう接していいかわからない主人公が、母親のためといいつつも結局は自分の価値観や愛国心をもがきながら探す行動になっている。これは彼が悪戦苦闘しながら、母親に対して、同時に祖国にさよならを言う心の準備を整えるまでの儀式なのだ。
 悪くはないけれど、こじんまりとした話だし引き込まれたわけではなかった。しかし自分がそれを間近に体験したドイツ人だったらまた違った意識をもっただろう。例えば、鬼畜米英・天皇万歳と教えられた日本人が、突然戦争後に反対のことを言われたら混乱するものだ。そんなときは自分で考えて自分なりの答えを見つける必要がある。そんな彼の葛藤を暖かく見つめている。

コメントする
Cape God