劇場公開日 2001年10月20日

「現代にも通じるアイデンティティの模索」GO(2001) NandSさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0現代にも通じるアイデンティティの模索

2022年6月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

悲しい

幸せ

前提として
・予告編は観た
・原作未読

 一人一人のキャラが魅力的だった。
主人公である杉原はもちろん、両親、親友のジョンイル、恋人の桜井、学校と社会の面々……
(深く描写されているとは限らないが)それぞれが悩みと短所を抱え、青年の歩む道を時に妨げ、彩っていく。

 暴力的なようでいて非常に繊細にかつ、暖かい目で青年を描いている。
何に悩んでいるのか、そもそも悩んでいるのかも分からない。自分の本心を知って伝えようとして怪我をして、その傷で少し成長していく……
そんな過程がじんわりと優しく伝わってくる。

 杉原は異性とか流行とかに興味がないわけじゃないけど、そこまで好きなわけじゃない。そんな思ってたよりオタクなのかもしれないといったところに共感が持てた。

 ミステリアスかつ自分にはないエネルギーを持った女の子に惹かれる気持ちもすごく理解できる。桜井はしっかりとそんな魅力的なキャラクターだった。そして桜井の悩みの描き方も少ないながら繊細だった。みんなちょっとした悩みを抱いている。大人も子供も。

 個人的には村田充演ずる加藤が好きである。阿呆なコミカルとムンムンの色気、これらが両立している面白いキャラクターだ。

 パッと感想としてふさわしい言葉が見つからないが、
"共感"したんだと思う。現代の若者だったら言葉にできない何かを共感すると思う。そんな映画だった。

NandS