劇場公開日 2023年7月28日

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「欠点のないのが欠点!?」さらば、わが愛 覇王別姫 コーヒービートさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0欠点のないのが欠点!?

2023年10月1日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

コレは驚いた。
脚本、役者、映像表現全てが融合していて、
タイトルの評価となった。
名ばかりの中華民国(北洋軍閥支配下)の北京から、文革終了までの動乱の時代、そこを生きた京劇役者の話しといえば簡単だが、そうはいかない。長回しこそないが坦々とした映像表現、古典的なライティングや場面変換方法。今の流行り言葉でいうと完璧な伏線回収。とにかく上映中は画面と音声に釘付けとなった。米アカデミー賞を貰わなかったのが不思議である。
中国映画の致し方ない特徴として、映像表現における政府当局との腹の探り合いがある。
主題の男色や、侵略者、漢奸狩り、新中国成立後の絶え間ない政治闘争…。表現にギリギリのせめぎあいがあったものと思われる。それらを含めて見事に映像作品として破綻せずにまとめ上げた手腕はなかなかのもの。人に「面白い映画を見たい」と問われたら、本作を真っ先に挙げるだろう。日本軍の行儀の良さを褒めて問題になるシーンがあるが、日本にも歌舞伎や初期の無声映画では女形が存在するので、日本人も行儀よく受け入れたのだろう。
逆に中国の諺「良い鉄は釘にならない(良い人物は兵隊にならないの意)」を具現する、国民党軍の無秩序、紅軍の野暮さにはアーティストとしては耐え難かったのだろう。
チェン監督の最近の日本公開作は朝鮮戦争モノばかりだが、早くまたこのような文芸歴史大作が撮れる様になるのを願うばかりである。

コーヒービート
コーヒービートさんのコメント
2023年10月9日

返事が遅くなりすいません。私は歌舞伎に疎いのでそのへんはわかりませんが、京劇の良さもよく分かる作品でした。本作でも触れていますが「革命的現代京劇」なるものや、セリフが社会主義のお国柄に合うように改変されたのは、古典京劇を文字通り身体に覚え込まされたベテラン演者達には辛かったものと思われます。

コーヒービート
マサシさんのコメント
2023年10月1日

そうですね。こんな難しい歴史を良くぞここまでと僕は思いました。
残念なのですが、僕はこの映画見てから、馬日本の歌舞伎が見れなくなりました。
京劇と歌舞伎は違うでしょうが。中国4000年の歴史を感じました。

マサシ